スクラムガイド拡張パック
オリジナルの スクラムガイド (Ken Schwaber & Jeff Sutherland著)(40)に基づく
スクラムガイド拡張パック収録資料
本書は、独立した著作物を収録したものである。各セクションは記載の通り、オリジナルのライセンスや著作権状況を保持している。特定の使用権限と要件については、各セクションを参照して欲しい。
セクション1:スクラムガイド拡張パック1(適応版)
タイトル:スクラムガイド拡張パック:オリジナルのスクラムガイドの適応版
著者:Ralph Jocham、John Coleman、Jeff Sutherland
出典: 2020年版スクラムガイド 、 スクラムガイド拡張パック
ライセンス:クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際( CC BY-SA 4.0 )
© 2025 Ralph Jocham、John Coleman、Jeff Sutherland
改変通知:これは 2020年版スクラムガイド を今日に適応させるものであり、オリジナルとは異なる内容を含みます。
免責事項:いかなる保証も提供されない。各自の責任で利用して欲しい。
このセクションは、クリエイティブ・コモンズの表示-継承4.0国際ライセンスの下で提供されている。
このスクラムガイド拡張パックを使用することで、 CC BY-SA 4.0 ライセンスの条項に同意したものとみなされる。
top背景
Ken SchwaberとJeff Sutherlandがスクラムフレームワークの開発を主導した。 2020年版スクラムガイド (40)はスクラムの本質を説明している。Tobias Mayerの A Simple Guide to Scrum (58)は、Ken SchwaberとJeff Sutherlandによる公式スクラムガイドの短縮編集版である。 スクラム ヘキシス (52)は2025年の視点から2020年版スクラムガイド(40)を詳述している。スクラムが広い範囲で採用されるために、スクラムガイド(40)はシンプルである必要があった。
topスクラムガイド拡張パックの目的
スクラムの導入をより成功させるため、この拡張パックは、Ken SchwaberとJeff Sutherlandによる2020年版スクラムガイド(40)を基に、現在の状況に合わせた追加のガイダンスを提供する。Ralph Jochamの2020年版スクラムガイド(40)への貢献(89)により、2020年版スクラムガイド(40)のオリジナルなアイデアをさらに深掘りした内容がこの拡張パックに追加された。
このスクラムガイド拡張パックは、未来を見通すレンズを通じてスクラムの各要素の 何 と なぜ を説明する。各要素は特定の目的を担い、スクラムで実現される全体的な価値と結果に貢献する。この拡張パックは継続的に進化していく予定だ。読者には前から順に読んでいくことを期待している。少なくとも一度目はそうしてほしい。
本書は、スクラムおよび関連用語について、ある程度理解している読者を想定している。この文書を読む前に、2020年版スクラムガイドを読んでおくと役立つだろう。出典明示のため、参考文献を記載している。付録と参考文献は、読者がより広く深い理解を得るために探求し、研究し、学習する機会を提供する。
実践者とステークホルダーは、以下を満たす場合にスクラムを採用すべきである。すなわち、主体性・緊急性・勇気・透明性・検査・適応・リズム・回復力を持って、プロダクトと組織の目標を支援すべく継続的に改善している場合である。スクラムを適用することで、この文書で提示されたガイダンスを超越することを期待している。すなわち、理論・役割・作成物・イベント・スケーリング・その他のすべての面である。持続的な好奇心を持って、探求・問い・継続的な改善へと繋げてほしい。
この拡張パックは、自己管理チーム(49)によるプロダクトデリバリーのすべての側面を支援するよう設計されている。そうしたチームは、問題や機会に対するステークホルダーのニーズや要望を原動力としている。これにはプロダクト発見・開発・デリバリー・価値実現が含まれる(ただしこれらに限定されない)。もともとソフトウェアプロダクト開発から始まったスクラムは、現在は多様な領域で幅広く採用され、複雑な(30-35)仕事を通じた価値の提供を可能にしている。利用が拡大するにつれ、エンジニア・プログラマー・研究者・アナリスト・弁護士・マーケター・科学者などの専門家が、それぞれの分野でスクラムを効果的に適用する例が増えている。
ステークホルダー価値とは、ステークホルダーが重要と考え、チームが提供する、あらゆるニーズである(ステークホルダーには顧客、意思決定者、ユーザーを含むがこれらに限定されない)。ただしステークホルダー自身が、自分たちにとって価値あるものが何であるかを、かならずしも認識しているわけではない。観察やエビデンスを通じて、意図的もしくは意図しないところで価値が顕在化し、それが優先順位に影響を与えることがある。新しい情報が出てきたら、潜在的に価値のあるアイテムを特定し、検査し、リファインし、適応させるべきである。価値とは、観察や測定されたアウトカムなどのエビデンスによって確認されるまでは、あくまで仮説にすぎない。
topスクラム早わかり
スクラムは、複雑な(30-35)プロダクトデリバリーのためのフレームワークである。専門性の価値を認めつつも、専門性を超えたものが必要であり、原因と結果の関係は、後から振り返ってこそ見えてくるものである。スクラムは、プロダクトライフサイクル全体をカバーする。そこには、プロダクトや機能の作成・置換・維持・適応・継続的変更・保守・廃止が含まれる(ただしこれらに限定されない)。スクラムは、個人・チーム・組織が変化に適応し、柔軟性を保ちながら価値を創造するのを支援する。
スクラムはステークホルダーのニーズを理解し、一貫して対応するための環境を育む。スクラムのイテレーティブ(反復的)でインクリメンタル(漸進的)なアプローチはリスクを削減し、継続的改善を促進する。スクラムはチームが問題の探求、ステークホルダー(顧客を含むがこれに限定されない)のニーズの発見、ソリューションの提供、積極的なリスク管理、価値の検証のバランスを取ることを支援する。
リスクとは、今後不利な結果をもたらしうる何らかの要因のことである。 時間が経過してもリスクエクスポージャー(リスクの影響度)は予測不可能であり、 あらゆる状況を見越した備え(anticipation)が鍵になる。 リスクエクスポージャーには、次のものが含まれる(ただしこれらに限定されない)。 市場リスク、プロブレム-ソリューションフィット、プロダクト-マーケットフィット、 技術、シグナル検出、応答性、コンプライアンス、 修復・再発防止、不適切なトレードオフ判断など。 スクラムは積極的なリスク管理と機会発見を支援する。
スクラムは、問題や機会を提示するステークホルダーとそれらを解決する人々の間にある距離を縮めることを奨励する。
一言で言うと、スクラムは以下のような環境に基づいている:
- サポートステークホルダー(以下、サポーター)は、スクラムマスターの指導と支援のもと、要求されたことを実行し、スクラムの採用を積極的に支援し、促進する。
- プロダクトオーナーがプロダクトゴールを設定し、ステークホルダー価値の実現に貢献する。
- 自己管理スクラムチーム(49)が、選択された作業を定義し、リファインメントし、価値あるアウトカムに変える。
- スクラムチームとステークホルダーがスプリント中に結果を検査し、適応する。
- サポーターがスクラムチームの成長と発展を支援する。
- 繰り返し。
リリースとは、プロダクトの新バージョンや更新版をステークホルダーが利用できるようにするプロセスである(ステークホルダーには顧客・意思決定者・エンドユーザーを含むが、これらに限定されない)。これは開発サイクルにおける転換点となる。プロダクトが開発段階から実際に使用可能な状態に移行し、ステークホルダー価値の可能性を具現化する。
スクラムは意図的に不完全である。詳細なプロセスを規定する代わりに、関係性および意図的な相互作用を導くフレームワークを提供する。様々なプロセス・技術・手法によってスクラムを補完することができる。しかし、そうしたものの適用は文脈に依存し、スクラムの用途ごとに異なるものになる。
スクラムは既存の他のプラクティスと融合するが、場合によってはそれらを不要にしたり、置き換えることもある。スクラムチーム・サポーター・現在のマネジメント・作業環境・技術の有効性を、透明性高く評価することによって、スクラムは継続的な改善を可能にする。
知識労働の文脈において、スクラムという用語は、竹内弘高と野中郁次郎(29)がラグビーというゲームから借用して考案したものである。これまでに述べたような働き方をし、優れたプロダクトを提供するため、企業全体に知識を急速に広めるチームを説明するために用いられている。
top支援・補完理論
スクラムは自己管理スクラムチーム(49)、創発、経験主義(67)、リーン思考(63)に基づいている。以下の支援・補完理論とアイデアに支えられている:
- 説明責任
- 価値を生まない無駄の削減(組織の非効率性を含む)
- 作業を問題や機会として捉える
- ディスカバリー、デリバリー、価値実現
- 継続的改善
複雑性-スクラムである理由
プロダクト構築のような複雑な作業においては、 既知よりも未知のことが多く、 専門知識だけでは価値があるものの不十分で、 原因と結果の関係は後から振り返って初めて明確になる。 複雑性思考(30-35)は 価値あるツールとアイデアを提供し、 洞察を促進する。 スクラムチームのメンバーには、 考える時間・互いに助け合う時間・ やり直しや方向転換の時間が必要である。 認知的多様性と経験主義は 複雑な仕事に対応するための手助けになる。
「既知」と信じられているすべてのことは、 市場やステークホルダー(顧客を含むがこれに限定されない)を含めて、 間違っている可能性がある。 期待、ニーズ、要求といったものは 時間の経過とともに現れたり薄れたりし、 相対的な重要性や緊急性も変化する。 経験主義的アプローチは 仮説を検証し、 検査と適応を行うためのメカニズムを提供する。
一般的に、何事も同じ状況に永続的にとどまることはない。 スクラムチームはカオスの縁(the edge of chaos)にいて、 前例のない、これまでに行われたことのないことを 研究し、取り組んでいるかもしれない。 しばらくして、スクラムチームがパターンや経験則を発見すると、 カオスな領域を脱し、複雑な領域に近づく。 さらにしばらくして、目前の状況において、 スクラムチームは秩序ある空間に近づき、 簡単ではないが計画可能なものとなっていく。 あるいは、物事は逆方向に進む可能性もある。 目前の状況において、 本当に自分たちが考えていた空間にいるかどうか 立ち止まって振り返ることは、 スクラムチームにとって良いプラクティスである。 重要な点は、 プロダクト開発はしばしば予測不可能性に対処する必要があり、 スクラムは予測可能性の幻想に基づくアプローチよりも、 もっと有用なアプローチになり得るということである。
機会は創発から生まれる。 誰が(Who)、なぜ(Why)、何を(What)、どのように(How)、どこで(Where)、いつ(When)の 検査と適応を通じて、 豊富な機会が芽吹く。 重要なことは うまくいかないことを抑制し、 うまくいくことを拡大することである。 結果からのフィードバック(結果フィードバック)(および意図しない結果)に基づいて 設定された目標に向けた 透明性・検査・適応は 価値創造、洞察、リスク、挑戦された仮定を提供する。 こうして継続的な改善を促進することができる。
自己管理チーム・検査・適応・ 価値ある作業の提供・新しい洞察の発見を通じて、 信頼を構築しよう。
top創発
創発(71)とは、 複雑な(30-35)システム内の相互作用から 意味のあるパターンや行動が生じる現象である。 パターンは、個々の部分を見ただけでは予測できない。 スクラムでは、創発は厳密に制御されるのではなく、 タイムボックス、役割、フィードバックループなど、 可能性を引き出す制約(enabling constraints)によって導かれる。 これらの制約は厳密なアウトカムを定義することなく、 自己管理と適応性を促す条件を作り出す。 このような構造は、予測不可能性の海における「島」のように機能する。 Stephen Wolframの研究(38)で説明されているように、 物理システムがランダムさの中から 自発的に組織化されたパターン群を形成する現象に似ている。 重要なのは、スクラムの構造が、 すべての詳細を定義するのではなく、 チームが自己管理し、新しいソリューションを創発するのに 十分なガイダンスを提供することである。
スクラムチームは複雑適応系として運営され、 誰かから指示されるのではなく、 短時間かつ並列かつ失敗しても安全な実験と、 継続的なフィードバックに反応していく。 スウォーミング、安定したチーム、カイゼン などのパターン(53)は、 創発的行動を特定し、形作るのに役立つ。 スクラムは、なんらかの結果を強制するかわりに、 スクラムチームが望ましいパターンを発見することを促す。 そこには革新的なソリューションや新しい働き方などを含むがこれらに限定されない。 それらを増幅しながら、 役に立たないパターンを抑制することを可能にする。
このアプローチは、自己管理(49)が トップダウンで設計されるものではなく、 適切な環境の中で 発見されるものであることを認識している。 目的意識があり、一貫性があり、生き生きとした環境。 これはChristopher Alexanderの「無名の質」(39)を反映している。 つまるところ、スクラムは創発を 排除すべきリスクとしてではなく、 プロダクト開発における卓越性のために育むべき力として扱うのである。
top自己管理スクラムチーム
自己管理(49)スクラムチームは、 軌道に乗っているかをチェックし、 軌道に乗っていない時にアクションを取り、 どのように働くかを決定し、 スクラムチーム内の対立を解決し、 スクラムチーム内の問題を修正する。 これは一般的に、マネージャー(111) がいる場合においても、 スクラムチームに何をすべきかを告げたり、 問題の修正にあたって スクラムチーム内のどのメンバーが対応する必要があるのかを、 マネージャーが決めることはない、ということである。 直接的、間接的にかかわらずだ。 マネージャーがいる場合、 彼らがリーダーシップをみせることは一般的に状況をよりよくする。
価値を中心に組織された自己管理スクラムチームは、 創造的な問題解決と創発を捉えることにとって不可欠である。 非自己管理スクラムチームに頼りきっていると、 複雑性(30-35)に対処する能力が妨げられる。 自己管理スクラムチーム(49)と 個人の自己管理とを混同しないこと。 シームレスな相互作用こそが、 優れたチームによる創発を可能にする。 非階層的な組織構造のもとでチームの自律性を促進し、 意思決定の効率化を図ることは、 スクラムチームが自己管理を向上させるのに役立つ。
topプロフェッショナリズム
プロフェッショナリズムとは、優秀性を追求し、尊敬・透明性・説明責任を持って価値を提供するために協働することである。プロフェッショナルであるということは、状況に関係なく常にやることと絶対にやらないことがあるということである。
プロフェッショナルであることは、プロダクトのライフサイクル全体、つまりゆりかごから墓場まで、プロダクトに対して全面的に説明責任を負うことを意味する。プロフェッショナルであることには、開発だけではなく運用や保守が含まれ、プロダクト開発者がフィードバックを得て学習する機会を提供する。
ソフトウェア開発の文脈においては、 プロフェッショナリズムには技術的卓越性(112)が含まれる(が、これに限定されない)。 技術的卓越性には次のようなプラクティスがあるが、これらがすべてではない。 実例を用いた仕様化、クリーンコード、単体テスト、テスト駆動開発、 テスト自動化、継続的インテグレーション、継続的デリバリー、 アーキテクチャと設計、受け入れテスト、 目的や意図を明確にしたテストの検討などである。
topリーン思考
リーン思考(63)は、 作業とその実行方法におけるムダを削減し、 価値の流れと継続的改善に焦点を当てる。 リーン原則は、 継続的改善と人々への敬意の上に築かれている。 リーン原則に焦点を当てることで、 組織は長期的なコストを最小限に抑えながら効率を高めることができる。 そして、顧客によりよい価値を届けながら、 同時に持続的な学習・開発の 風土を育むことができる。
top経験主義
経験主義(67)は、しばしば探索的な学習サイクルにおいて、客観的または観察可能なエビデンスに基づいて意思決定を行う原則である。専門知識以上のものが必要な状況で有用である。スクラムは経験主義に基づいている。決定はエビデンスまたは観察されたものに基づいて行われる。経験的アプローチには、効果的なフィードバックループを確立するための継続的な観察、理論開発/洗練、運用化、テスト/修正が含まれる。
経験主義は、何を作るか(What)またはどのように作るか(How)が不確実な状況において、スクラムチームがステークホルダーにとって価値ある成果を届けるときに役立つ。スクラムは価値を探索し、提供し、実現することで、ありえないことをありえることに変えることである。この過程にはトレードオフや実験などが含まれるがこれらに限定されない。実験は一般的に検証可能な仮説に基づくが、経験に裏付けされた直感に基づくこともある。実験では、エビデンスに基づく意思決定が重要となる。
立ち止まって振り返ることは、経験主義とリーン思考の要素を組み合わせたものであり、プロダクトゴールに向けた透明性、検査、適応の基盤を作る。これにより、スクラムチームとサポーターが自身と自身の環境を改善することを促進する
効果的なスクラムの適用は、問題や機会を提示するステークホルダーとそれに取り組む人々の間の距離が縮まり、ゴールがより具体的で意味のあるものになり、価値を迅速かつ頻繁に届けられるようになる。ステークホルダーは何を(What)やどのように(How)について誤解していることがある。一方でスクラムチームは誰(Who)が影響を受けるかについて誤解していることがある。約束を守ることや間違ったステークホルダーに仕えることよりも検査と適応に価値を置くべきである。すべての仮説は間違っている可能性がある。
topケイデンス
スプリントで働くことは、スクラムチームが明確で短期的なゴールに集中するための一貫したリズムを提供する。このケイデンスは定期的な検査と適応を促進し、スクラムチームがフィードバックに基づいて学習し調整することを可能にする。時間の経過とともに、持続可能なデリバリーペースを構築し、予測可能性を向上させ、継続的改善を促進する。
topスクラムの経験的プロセス制御の三本柱
経験主義とは、本質的には知識は経験と観察から得られるという哲学である。好奇心、経験、実験、データ、可視化、そして観察を通じて、価値ある洞察は生まれる。経験的プロセス制御(64-66)は、透明性・検査・適応という三本柱に基づき、観察された結果をもとに適応していくことで、スクラムのような複雑なプロセス(30-35)を管理する手法である。
top透明性
透明性はスクラムの三本柱の一つである。 現実と作業の明確性を明らかにし、経験主義を実現する。 透明性によって、 現実をより正確に認識できる。 それは、検査と適応への入り口となる。 創発的プロセス・作業・結果は、 人々に向けて、可視化されなければならない すなわち、作業を実行する人々、 ゴールやプロダクトバックログアイテムの形でインプットを受け取る人々、 インクリメントの形でアウトプットを受け取る人々である。
重要な決定は、 作成物・実験・リリース・結果からのフィードバック(結果フィードバック)に基づいて行われる。 透明性が低いと検査が損なわれやすい。 価値を下げ、リスクを増やす決定につながる。 透明性は検査を可能にする。
結果からのフィードバック(結果フィードバック)は、 プロダクトや環境の変化から生まれるデータである。 理想的には定量的・定性的データの両方を含む。 それは、 ステークホルダーにとっての価値・工数・リソース・コストに影響する。 ただし、人はリソースではない。
組織内で非効率な制度があったり信頼が欠如している場合、 透明性の達成は非現実的であり、 おそらく実現不可能である。 しかし逆に、 スクラムは制度面での非効率性を明らかにすることができる。 そして集団としての意志があれば、信頼を築くことができる。
top検査
検査はスクラムの三本柱の一つである。 検査とは、現実を見ることである。 プロダクトの方向性(プロダクトゴール)と スクラムチーム・ステークホルダーの有効性を確認する。 検査によって適応が可能となる。 検査とは、現実を直視することであり、 エビデンスや観察など、 透明化されたものに基づいている。 検査と適応を促進するために、 スクラムはイベントの形でケイデンスを提供する。
スクラムの作成物・関連するコミットメント・合意されたゴールに向けた進捗は、 頻繁かつ入念に検査されなければならない。 これは、創発(71)を検出するために行う。 作成物・実験・リリース・市場・結果からのフィードバック(結果フィードバック)の検査は、 学習や副作用をもたらす可能性がある。 副作用とは、予期しない結果や意図しない結果、その影響である。
透明性を欠いた検査は、 情報不足であり、誤解を招き、無駄である。
top適応
適応はスクラムの三本柱の一つである。 プロダクトの方向性を踏まえて、 スクラムチーム・ステークホルダーは現実に適応することが期待される。 実験のアウトカム・洞察・リスク・機会など、 改善の機会が現れた瞬間に行う。 組織に非効率な制度が存在する場合や、 関係者がすべきことをする 準備・意志・能力が不足していると、 適応はより困難になる。
適応は、エビデンスに基づいて「現実」を受け入れることから始まる。 適応は通常、 スクラムの作成物・関連するコミットメント・ スクラムチーム・ステークホルダー・リーダー・組織で発生する。 いずれかの点が許容範囲や基準から逸脱した場合、 または結果のプロダクトが受け入れられない場合、 軌道修正のため可能な限り速やかに調整を行わなければならない。
適応を行わないなら、 透明性にも検査にも意味がない。
topスクラムの価値基準
スクラムの価値基準である、集中(Focus)、公開(Openness)、確約(Commitment)、勇気(Courage)、尊敬(Respect)は、心理的安全性と積極的なコラボレーションを促進するスクラムチームの環境をつくり、学習と効果的なチームワークに有益であると神経科学で特定された原則と整合している。
スクラムの価値基準は透明性と信頼を育み、言葉と行動の一致を確保する。スクラムの価値基準を組み合わせることで、スクラムチーム内でのコラボレーション、パフォーマンス、一貫性のための強固な基盤が築かれる。
スクラムの適用が成功するか否かは、スクラムチームとサポーター(およびその他のステークホルダー)がプロフェッショナルとして模範を示すことができるかどうかに依る。スクラムの価値基準は、スクラムチームとステークホルダー間の信頼を向上させるのに役立つ。スクラムの価値基準はまた、信頼を育む倫理(57)、語彙、トーン、作業、行動、アクションを促進する。それらはまた、言葉と行動の間のギャップを減らしたり避けたりすることを支援する。
スクラムチームとサポーターは、すべての作業と課題について 公開 であることに同意する。謙虚さは 公開 を支える。 公開 は信頼を必要とし、信頼は 公開 を必要とする。スクラムチームとサポーターは建設的なフィードバックを要求し、共有すべきである。彼らは日常的に帯域幅の太い会話と定性的または定量的フィードバックを通じてコラボレーションし、学習する。
帯域幅の太い会話とは、最も豊富で、最も速く、最も明確な情報交換を可能にする方法でコミュニケーションを促進する会話である。これは通常、対面での議論 —— 対面、ビデオ通話、視覚的管理、またはホワイトボード(物理的またはデジタル)を通じて —— を含み、参加者は言葉だけでなく、声のトーン、表情、描画、またはボディランゲージを使用して互いを完全に理解することができる。
スプリントは短いため、 小さく速く失敗すべきだ。 リスクは迅速でオープン(公開)なフィードバックを通じて 特定され、管理される。 おそらく、真の失敗は唯一、学習の欠如だけである。
スクラムチームとサポーターは正しいことを行い、困難な課題に直面する 勇気 を持つべきである。彼らは、未知の領域を探求し、方向転換を恐れず、情報の要求・共有を積極的に行い、真っ当な議論 —— 例えば、健全な対立や建設的な反対意見の表明など —— を交わす勇気を持つべきである。スクラムチームは必要に応じてサポーターとリーダーに助けを求めるべきである。
スクラムチームは、 スプリントゴールの達成とお互い助け合うことを 確約 する。 確約とは、 スプリントゴールに向けた関連作業を、 遅くともスプリント終了時までに、できればもっと早く、 アウトプット完成の定義に準拠させることである。 また確約とは、価値実現を通じて、 望ましいアウトカムに近づいていくことでもある。
スクラムチームが第一に 集中 すべきことは、 スプリントゴールに向けて可能な限り最善の進捗を遂げることである。 スクラムチームが第二に 集中 すべきことは、 プロダクトゴールに向けて可能な限り最善の進捗を遂げることである。 スクラムチームがインクリメントを届けるために、 サポーターは心理的安全性の高い空間と環境を提供することを 確約 する。 その 集中 を通じて、 スクラムチーム・サポーターは 継続的学習・適応および スクラムチーム間での学習の移転 の時間を作ることを 確約 する。 これらは長期的効果を確実にするためである。 スクラムチームとステークホルダーは、 短期的成果と長期的影響を考慮するなどの トレードオフに意図的に取り組むべきである。
スクラムチームとサポーター(および他のステークホルダー)は、熟練したプロフェッショナルとして互いを 尊敬 する。お互いの異なる専門知識と視点を 尊敬 し、意見の相違に対して建設的に対応する。尊敬ある行動は信頼を支える。スクラムチームとサポーターは、より効果的な選択肢を見つけるためにアイデアやアプローチを批評すべきであり、人を批判すべきではない。
尊敬 は他のスクラムの価値基準が攻撃的に利用されることを防ぐ役割を果たす。尊敬 の実践には、心からの称賛、互いへの支援、謙虚さ、心理的安全性、建設的な意見の相違、認知的多様性などが含まれるがこれらに限定されない。
スクラムチームメンバーとステークホルダーは、John BoydのOODA(99,100,102)の視点を通してスクラムの価値基準を見ることができる。OODAは、4つのステップ:観察(Observe) 、状況判断(Orient)、意思決定(Decide) 、行動(Act)を踏むことで、パイロットが急速に変化する状況で迅速かつ賢明な判断を行うことを支援するためにアメリカ空軍大佐John Boydによって作成された。OODAは不確実性を扱うためのシンプルで、継続的で、反復的で、強力な方法であり、しばしば無意識に活用される。例えば、市場変化に気づく(観察)、トレンドとリスクを分析する(状況判断)、テストするプロダクトフィーチャーを選択する(意思決定)、それらを提供する(行動)などである。OODAは個人が柔軟性を維持し、どんな状況にも適切に対応するのに役立つ。スクラムはOODAを改善できる。
スクラムチームメンバーはJohn BoydのOODAの視点からスクラムの価値基準を理解し、スクラムを活用して創発的なソリューションを育むことができる。スクラムの文脈では、スクラムの価値基準はOODAのすべてに適用され、特に以下のように支援する:
- 観察:公開と尊敬は、関連するすべてのエビデンスと多様な視点の収集を促進する。
- 状況判断:現実を解釈し、不確実性を乗り越え、適応または方向転換に合意するには勇気が必要である。仮説を検証し新しい洞察を導き出すために、立ち止まって振り返ることもある。
- 意思決定:何をするかを決めるには、タイムリーな分析が求められる。バックログリファインメントなどを通じて、仮説を検証するための安全に失敗できる実験を並行して行い、次のステップに集中できるようにする(これらの実験は小さく、並行して実行ができ、失敗しても致命的でなく、かつ有益な情報をもたらすよう設計するべきである)。
- 行動:何を・なぜ・誰が行うかが明確であれば、コミットメントによりタイムボックス化されたスプリントなどの制約条件のもとでチームが効果的に行動し、創発的なソリューションを育むことができる。
さらなる支援・補完理論
topプロダクト思考
人々が実際に使うのはプロジェクトではなく、プロダクト(サービスを含む)である。プロダクトは、ユーザーに価値を届けるためのものであり、短期的な成果と長期的な視点の両方が求められる。そのため、スクラムでは「プロジェクトオーナー」ではなく「プロダクトオーナー」の役割が設けられている。プロダクトは長期間にわたって継続的に管理・改善していく必要があるが、プロジェクトはタイムボックスが決まっており、プロジェクトが完了するとプロダクトが十分にサポートされず放置されてしまうことがよくある。
プロダクト思考(86-88)とは、プロダクトが短期的な成長に 集中 する必要がある一方で、長期的な課題にも対応しなければならないという葛藤(111)を扱う考え方である。たとえば、短期的には、アーリーアダプターを獲得し勢いを得ながら、プロダクトの利用を広げることが重要である。一方で、長期的には「キャズム(普及の壁)を超え」(5)、プロダクトを拡張し、バージョンアップや継続的な改善を行いながら、顧客のライフタイムバリュー(生涯価値)や総所有コストといった観点にも目を向ける必要がある。
「キャズムを超える」には、新しいもの好きでリスクをいとわない顧客をターゲットにする戦略から、より現実的でリスク回避傾向が強い購入者や意思決定者、ユーザー、または他のステークホルダーを獲得するための戦略へとシフトする必要がある。そのためには、特定のニッチな市場やターゲット層に焦点を当て、実際の課題を解決できる、信頼性の高い完成度のあるソリューションを提供することが重要である。このステップは、一部のアーリーアダプターから、アーリーマジョリティに広く使われるようになるための分岐点となる。アーリーマジョリティは、特定の状況や用途でそのプロダクトが本当に信頼でき、問題解決に役立つという明確なエビデンスを求める傾向がある。ニッチな市場に集中し、完成度の高いソリューションを提供することで、企業は信頼を築き、他の顧客に紹介できる実績ある顧客(リファレンス顧客)を作り、市場での強固なポジションを確立できる。こうすることで、アーリーアダプターとメインストリームの市場の間にある「キャズム」を効果的に乗り越えることができる。
プロダクトオーナーは、勇気や謙虚さを持ち、周囲と相談したり協力したり、ときには建設的な意見のぶつかり合いを通じて、ここ(Here)と今(Now)と、予想される未来(そこ(There)とその時(Then))(148)の間のトレードオフを上手く扱う力が求められる。
もし関係者が短期的な視点でのみ行動してしまうと、技術的負債がたまったり、スクラムチームの士気が下がったり、常に忙しくなったり、アウトプットばかりを重視してしまうなど、長期的にさまざまな副作用を経験する可能性がある。そのため、長期的な視点を持つための工夫や対策をあらかじめ用意しておく必要がある。
技術的負債とは、 何かをより早く提供するために、 実装や設計で近道をした際に (意識的にしても無意識でも) 積み重なっていく追加作業のことである。 時間が経つにつれて、 実際の借金のように (利子付きで) 開発のスピードを落としてしまう。 なぜなら、今後の変更を 余計に難しく、リスクの高いものにするからである。 プロフェッショナルならば、 技術的負債・ずさんな作業を できるだけ最小限に抑えるよう努める。 もし負債を負うことを決めたとしたら、 それは透明性を持つべきであり、 可能な限り、 後から柔軟に対応できるような緩和策を用意しておくべきである。
プロダクトに対して、スクラムは倫理的(57)な枠組みの中で、実現可能性、使いやすさ、魅力、価値、そして実行可能性を、以下を通じて支援する。
- プロダクト設計
- プロダクトマネジメント
- ステークホルダー、研究、ゴール、ディスカバリー、設計、デリバリー、継続的な価値実現といった要素が密接に連携し合うことを意識的に考慮すること
- 技術系プロダクトの場合は、プロダクトエンジニアリングを通じて
スクラムは、短期と長期の健全なバランスを大切にする。ゴール指向で進めることで、価値の創出やリスク低減に重点を置き、潜在的なアウトカムを実現しやすくする。スプリントゴール(ここ(Here)と今(Now))は、プロダクトゴール(そこ(There)とその時(Then))に向かうための一歩であり、これが長期的な成長への道筋となる。プロダクトゴールは、プロダクト戦略やプロダクトビジョンを支える役割も果たす。
topシステム思考
システム思考(55)は、組織や社会の文脈において様々な要素が相互に結びついていることに着目し、ある領域での行動が必ずしも予測可能ではなく、また線形ではない方法で波及していくことを重視する考え方である。理論に基づく実験、フィードバックループ、追跡的なデータ分析を通じて、価値ある実践的な知見が得られる。システム思考は有用なツールとアイデアを提供し、洞察を促進する。
適応力(80)のある組織になるためには、個々のコストを削減しながら長期コストを増加させる、品質目標を犠牲にして顧客信頼を失う、そもそも存在すべきでないスクラムチーム、ワークフロー、プロセスを改善するなどの局所的な部分最適化を避けることが必要である。複雑な作業(30-35)では、原因と結果を結びつけることは必ずしもできず、多くの場合、事後に初めて理解できるものである。それでもなお、アクションや施策がもたらす前工程や関連領域、後工程に対する実際的もしくは潜在的な影響を考慮することは有用である。
topディスカバリー
ディスカバリー(50-51)は、多くの場合、観察・分析・対話・統合を通じて人々の期待やニーズ、要望を把握し、望ましい成果を明確にすることから始まる。スクラムチームが十分な洞察を得たら、問題や機会を整理し、それらに潜在的な価値の大きさで優先順位を付ける。チームは急いで結論を出すことはせず、可能性のあるソリューションについて広くアイデアを集める。もし潜在的な価値が高いにもかかわらず、その価値が本当に実現できるというエビデンスが足りない場合は、追加の調査や仮説検証をする、あるいは実際の顧客・意思決定者・ユーザーに試せるシンプルなプロトタイプをつくるべきである。ディスカバリーは終わりのない活動であり、顧客や意思決定者、ユーザーへの定期的なインタビューや観察を続けることが推奨される。
ディスカバリーとは、ユーザー観察やフィードバック、その他の学びをもとに、アイデアの優先順位付け、実行、不要なものの見送り、そして継続的な改善を通じて、望ましい成果に向かって学び続ける活動である。ディスカバリーは、チームのコラボレーションや創造性を大切にし、失敗を恐れずに何度でも挑戦する姿勢を重視する。また、ディスカバリーによって、チームは作業を問題や機会として捉え直し、人々が望むもの・技術的に実現可能なこと・ビジネスとして意味があることのバランスを取りながら、さまざまな解決策の選択肢を生み出し、優先順位をつけて試すことができるようになる。そして、こうした活動全般をチームは楽しみながら行う。
ディスカバリーが必要な場合は、可能な限りスクラムと整合した形で取り入れるべきである。たとえば、ディスカバリーの作業はプロダクトバックログやスプリントバックログで可視化され、スクラムチームのメンバーはディスカバリーやその他のスキルを実践し、学びはスプリント中やスクラムイベントで議論される。そして、どれだけディスカバリーを行ったかに関わらず、毎スプリントで少なくとも一つのインクリメントが必ず作り出され(理想的にはリリースされ)るべきである。バランスを取ることが重要であり、ディスカバリーは間違ったものを作ることを防ぐのに役立つが、やりすぎることもあり得る。最終的には、結果からのフィードバック(結果フィードバック)が最も重要である。
topリーダーシップ
リーダーシップとは、共通のゴールを達成するために、人々の意欲を低下させずに良い影響を与え、導き、鼓舞する能力である。それは思考、行動、情熱を刺激して、明確な戦略的方向性を育む。それは目的意識と意図を持って、現場を見る、聞く、理解するということを実践し、事実と観察結果を収集して意思決定に反映させるプロセスであり、現地現物(84)として知られている。
リーダーシップは、責任・人間関係構築・エンパワーメントを含んだ、動的で社会的なプロセスである。効果的なリーダーシップにより、進むべき方向の共創・必要なリソースと人材の効果的な配置・グループメンバー間の相互の コミットメント が実現される。
スクラムにおけるリーダーシップとはすなわち、レジリエンスを重視するリーダーシップであり、管理職の地位ではなく一連の資質を指す。したがって、リーダーシップには、自己管理型スクラムチームの育成、明確さ、信頼、透明性、方向性における創発(71)、仕事における充実感、不確実性(72)と失敗の受け入れ、より良い意思決定のためのエビデンスの収集、積極的なリスク管理、組織の非効率性の除去などが含まれるが、これらに限定されない。
リーダーシップはあらゆる方向から生まれ、すべてのレベルで存在すべきものであり、適切なタイミングで自らを振り返る契機ともなる。真のリーダーシップとは、価値の実現に向けて徹底的に取り組む姿勢を持ちつつも、常に思いやりと倫理観を忘れないことが求められる。リーダーシップには、ワークフロー、プロセス、システム、そして職場環境をより良くするための持続的な主体性が求められる。その取り組みは、人事、財務、ベンダー管理も含まれる(ただしこれらに限定されない)。 つまり、リーダーとは、こうした姿勢をもってリーダーシップを発揮する人のことを指す。
プロダクトオーナーとスクラムマスターは、明確な意図を示し、自主性を促進し、責任感を高めることで、リーダーシップ・権威・そして微妙なコントロールのバランスを取る。彼らはマイクロマネジメントに陥ることなく、スクラムチームがビジョンとゴールを理解し、それを自律的に実行しながらアウトカムに対する説明責任を持ち続けるよう導く。介入が必要な場合は、スクラムチームのオーナーシップを保持させた上で、断固とした対応をとる。開発者は、自己管理チーム指向、専門性、そしてゴール指向を通じてリーダーシップを発揮する。自己管理には責任が伴う。サポーターは、短期と長期の障害物除去の支援、スクラムとの整合性を高める管理プロセスの改善、要求に応じて明確な方向性に基づいた創発的な変化を後押しすることで、リーダーシップを発揮する。
top第一原理思考
第一原理思考は、課題をその最も基本的な真実に分解し、根本から解決策を導き出す問題解決方法である。類推や確立された慣例に依存する代わりに、このアプローチは「確実に知っていることは何か?」と問い、それらの基本要素から理解と解決策を再構築する。例には以下が含まれるがこれらに限定されない:
- スクラムチームが盲目的にプロセスに従ったり、他チームの前例を模倣するよりも、自律性、透明性、適応といった効果性、適応性(80)、適時性を高める中核的要因に 集中 することを促進する。
- あらゆる前提に疑問を持ち、事実と基本原理に基づいて解決策を再構築することで、ブレークスルーを可能にする。
- 独創的な思考、継続的改善、現状に挑戦する 勇気 を奨励し、創造性を解放し、変革を実現可能とする。
人と変化
スクラム適用の難しさを 過小評価すべきではない。 スクラムは 各構成要素を通じて いくつかの道しるべとなる原則(guiding principles)を提供する。 第一原理に立ち返るための アプローチを提供している。
スクラムとは、 単なるツールの導入ではない。 障害物の除去だけに終始するものでもない。 スクラムにおける障害物とは、 進捗を阻害または遅延させるあらゆる要因を指す。 人・変化・コミュニケーションについて、 意図的に、手を緩めず、粘り強く 取り組むことが必要不可欠である。 変化には様々な要素が含まれる。 人材開発、設計、ワークフロー、 プロセス、システム、態度、行動、 言語、習慣、職場環境などである。 文化とは、 そうした変化の創発的な結果である。
効果的なスクラムの適用には、 創発的なアプローチの活用や 効果的なチェンジエージェントの存在、 そして、スクラムの影響を受ける人や影響を与える人たちの 熱心な協力を得ることが必要である。 スクラムの導入においては、 意図的な取り組みと日々の進捗が重要であり、 他のすべての作業が終わった後に 最後に取りかかるものとしてはならない。
方向性を持ち、 規律ある創発的変化から始めよう。 創発的変化を当たり前にして、 最終的に定常的な仕事の一部になるまで 進めることを目指す。 スクラムの適用には方向性があるが、 事前に定められた目的地はない。 変化とは創発的なものであり、 それゆえ予測できない。 好奇心は、 方向性を持った上で、 感じる・聴く・学ぶ・適応する というパターンを可能にする。 関係性を育み、 多様な視点を理解し、 語られていないことや 起こっていないことに 耳を傾けることが重要である。 変化は困難だが、 やりがいのある作業である。
top拡張パックにおけるスクラムの役割
スクラムの4つの役割とは、プロダクトオーナー・プロダクト開発者・スクラムマスター・ステークホルダーである。これらは信頼を与え、報い、獲得し、一貫したリーダーシップを可能にする。スクラムチームには、プロダクトオーナー、開発者、スクラムマスターの3つの説明責任のみが含まれる。
1人が複数のスクラムの役割を担うことができる。複数の役割を担う場合、越権行為をしないよう注意しなければならない。スクラムの役割は、チェック・アンド・バランスを保つよう設計されている。
スクラムチームは、スクラムを実践し、スクラムマスター、プロダクトオーナー、プロダクト開発者というスクラムの3つの 説明責任 を担い、ステークホルダー(顧客やユーザーを含むがこれらに限定されない)の問題や機会に対応し、スクラムチームとステークホルダーの視点から、プロダクトゴールに向けて有用で利用可能かつ潜在的に価値のあるインクリメントをデリバリーするチームである。複雑な(30-35)作業においては、スクラムチームは小規模で認知的多様性を持ち、自己管理型であるべきであり、人間のスクラムチームメンバーは、技術的な支援を受けながら、お互いの作業を気にかけ、お互いの作業のやり方を学ぶ。
スクラムチームは機能横断型であるべきで、これは技術とビジネスドメインのスキルを含む多分野にわたることを意味する。スクラムチーム内に明示的な階層は存在しない。スクラムチームは以下に必要なすべてのスキルとサポートを備えるべきである:
- 必要に応じてディスカバーする(調査と設計を含む)
- デリバリーする(適切な場合はエンジニアリングを含む);そして
- 価値実現(および使いやすさ・魅力・倫理的な(57)境界内での実現可能性)を検証する。
スクラムチームは、サポーターの支援を受けながら、問題や機会の領域、プロダクトのディスカバリー、デリバリー、検証、作り込み品質、市場投入、そしてプロダクトゴールに向けた価値検証に共同で取り組む。 このチームは実質的な改善を目指し、自己管理(49)をしているため、誰が、何を、どのように、いつ、どこで、行うのかを自ら決定する。
価値検証とは、 与えられた範囲内で、 期待される結果が達成されたかどうかを 確認(または棄却)することである。
スクラムチームは毎スプリントでインクリメントを提供し、問題を発見して修正するために継続的に自己管理し(49)、継続的に同期し、頻繁にリリースする。スクラムチームは、俊敏性を保つのに十分な小ささと、スプリント内で重要な作業を完了するのに十分な大きさを持つ。多くの場合、より小さなスクラムチームの方がよりよくコミュニケーションを取り、より生産的である。
スクラムは、定義された組織またはプロダクト構造内の自己管理スクラムチーム(49)に基づいて構築されている。自律性は存在するが、スクラムイベント・説明責任・作成物・コミットメント・三本柱・価値基準・組織のニーズによって境界が設けられている。
スクラムは、作業に必要なすべてのスキルと専門知識を集合的に保有または習得し、必要に応じてそれらのスキルを共有する人々のグループを関与させる。成功につながるアウトカムの可能性を高めるために、リーダーによって支援された意図的な相互作用が必要である。
集中 は、価値あるアウトカムを提供しながら、適切な投資量で最も効果的な方法でプロダクトゴールを達成することに向けられるべきである。
スクラムは、逐次的でサイロ化された作業ではなく、継続的な相互作用と共有説明責任を奨励することで、協調的なチームワークを促進する。このアプローチにより、スクラムチームとステークホルダーは不確実性(72)を受け入れることができ、継続的な学習とフィードバックに基づくより迅速な調整が可能になる。発見、開発、価値検証の重複する性質は、より適応的(80)で価値駆動型のプロダクト開発アプローチを保証する。
重複する作業は、スクラムチーム内における説明責任の共有を促進し、エンゲージメントとコミットメントを高める。スクラムチームは、課題や機会への対応に意識を向け、自発的な行動を促し、多様なスキルセットを育成し、すべての関係者に市場動向への意識を高める。
スクラムチームは、ステークホルダーとの連携から価値検証に至るまで、検証、保守、運用、実験、研究開発、その他必要とされるあらゆるプロダクト関連の活動を行う。スクラムチームは品質を作り込む。サポーターは、組織が適切な環境と作業環境を整備し、スクラムチームが自己管理(49)できるように支援する。持続可能なペースでスプリントで作業することは、集中 と一貫性を向上させる。
スクラムチームとステークホルダーは、何を学ぶことになるかを事前には知り得ない。ある学びは確実性を高める一方で、ある学びはさらなる不確実性(72)を生み出すこともある。いくつかのことは出現し、消え去り、脱落したり、優先度が低下したりする可能性がある。
スクラムチームは、整合性の取れた自律性を有している。整合性の取れた自律性とは、スクラムチームが共通の目標とアウトカムに集中しながらも、課題の解決方法を自ら決定できる自由を持つ状態を指し、イノベーションと組織としての一貫性の両立を可能にするものである。認知的多様性を持つスクラムチームを育成することは不可欠である。スクラムチームのメンバーが互いに協働し、信頼し合い、自己を内省できるとき、他家受粉がより促進される。
成功につながるアウトカムのためには、スクラムチームおよびサポーターが時代遅れの原則を手放す姿勢、すなわちアンラーンする意欲を育むことが求められる。検査と適応を実現するには、間違いを予期し許容する風土が不可欠である。批判は個人ではなく、アイデアに対して向けることに 集中 する必要がある。スクラムチームのすべてのメンバーは「同じフィールドでプレーする」存在であり、作業は一貫性をもって重なり合い、成功に対して全員が責任を負う。
topステークホルダー
ステークホルダーは役割の一つである。ステークホルダーとは、インプット・活動・アウトカムに関心を持ち、そこから影響を受けたり影響を与える存在・個人・グループである。ステークホルダーは、組織・プロダクト・サービスの内外に直接的・間接的な利害関係を持つ。
ステークホルダーには、顧客、意思決定者、ユーザー、ベンダー、インフルエンサー、マネージャー、同僚、リーダー、立法者、資金提供者、特定分野のエキスパート、ガバナンス監督者が含まれるが、これらに限定されない。法律やAIなどの無機物で人間ではないステークホルダーも無視すべきではない。ステークホルダーは、他のステークホルダーよりも影響力が強かったり、影響を受けたりする場合があり、優先する要素がそれぞれ異なる。ステークホルダーごとに権力や影響力の程度が異なる。
顧客とは、プロダクトを購入や選択することにより価値を受け取るステークホルダーの一種である。顧客には、購入者(プロダクトを購入または取得する人)、意思決定者(プロダクトの採用を承認または決定する人)、エンドユーザー(プロダクトを直接利用し、相互作用する人)が含まれる。B2B2C(79)やB2B2B(78)などのように、顧客と最終顧客が異なることがある。
スクラムの適用を成功させるためには、ステークホルダー(顧客とユーザーを含むがこれらに限定されない)とスクラムチームとの間で相互作用を生むやり取りを意図的かつ定期的に持つことが重要である。
ユーザーとは、特定の目標を達成するまたは課題を解決するためにプロダクトと直接相互作用するステークホルダーの一種である。ユーザーはサービス、プラットフォーム、体験などのプロダクトを実際に利用する。そのフィードバックや満足度はプロダクトの継続的改善に不可欠である。ユーザーは購入決定に発言権を持つ場合もあれば持たない場合もあるが、ユーザーによるプロダクトの利用とエンゲージメントはプロダクトの成功にとって重要である。B2B2CやB2B2Bなどのように、ユーザーとエンドユーザーが異なる場合もある。スクラムの適用を成功させるためには、ユーザー(必要に応じてエンドユーザーも)とスクラムチームとの間で相互作用を生むやり取りを意図的かつ定期的に持つことが重要である。
意思決定者(82)は、プロダクトの採用や購入を承認、選択、または決定する権限を持つステークホルダーの一種である。Jeff Pattonは「チューザー(選択者)」と呼んでいる。意思決定者は選択肢を評価し、最終判断を下す責任を負い、多くの場合、ユーザーや組織全体のニーズを考慮する。意思決定者自身がプロダクトを使用する場合もしない場合もあるが、彼らの選択はどのプロダクトが採用され、他のステークホルダーにどのように価値が提供されるかに直接影響する。スクラムの適用を成功させるためには、不完全な情報でも行動し、創発的な結果からのフィードバック(結果フィードバック)を捉えていくことが効果的である。
立法者(加えて、この文書の目的に向けた外部または内部のポリシー立案者)は、プロダクトの運用に関するルール、ポリシー、境界を策定する。立法者はステークホルダーへのプロダクトの価値提供やプロフェッショナリズムの基準を形成する法的、規制的、または組織内の枠組みを定義する。立法者はプロダクトが外部や内部の要件に沿って進化し持続可能であるように導く。スクラムの適用を成功させるためには、法的要件を過大評価も過小評価もせず、適切に対応することが重要である。
資金提供者は、プロダクト開発、リリース、改善のために資金やリソースを提供する。資金提供者はプロダクトの実現可能性、価値、実行可能性を評価し、ステークホルダーに継続的に価値を提供できる可能性を見極めて投資を行う。資金提供者は投資回収や長期的な持続性との整合を確かなものとするため、プロダクトのビジョン、戦略、目標に影響を与える。スクラムの適用を成功させるためには、新しい情報が明らかになるにつれて、柔軟に姿勢や資金運用を変えることが求められる。
特定分野のエキスパートは、プロダクトの作成、進化、保守に不可欠な深い知識や独自のスキルを提供する。技術、設計、コンプライアンス、特定ドメインなどの分野で、特定分野のエキスパートはプロダクトの使いやすさ、実現可能性、プロフェッショナリズム、拡張性を支援するが、自己管理スクラムチーム(49)を妨げてはならない。特定分野のエキスパートは満足度ギャップを解消し、プロダクトが適応しやすくなるよう支援し、創発(71)を特定、表現、測定する役割を担う。スクラムの適用を成功させるために、特定分野のエキスパートからスクラムチームへ、そしてスクラムチーム全体への定期的な学びの移転を促進することが重要である。
満足度ギャップとは、ステークホルダーが現在体験していることと彼らが体験したいと望むこととの差を指す。言い換えれば、ステークホルダーが現在のプロダクトにどれだけ満足しているかと、ここからどれだけ満足させられるかとの間のギャップである。
ガバナンスとは、プロダクトの方向性、意思決定、説明責任を意図的に制約する構造、標準、規制、規範、プロセス、プラクティスを指す。ガバナンスは透明性を促進し、価値、実現可能性、プロフェッショナリズムの基準への遵守を促進させる。ガバナンスはリスク管理を支援し、変化するニーズや環境に合わせてプロダクトを適応させるメカニズムを提供し、プロダクトを長期的に成長させ続ける土台を提供する。スクラムの適用を成功させるために、ガバナンスがスクラムと一貫性を持つことが重要である。たとえば、ガバナンス領域ごとに単一の連絡窓口を設定し、品質やコンプライアンスに関する意図的な対話をスクラムチームと行い、ガバナンス自体を定期的に検査・適応し、予期せぬ事象が生じないようにすることが重要である。
topサポーター
サポーターは特定のステークホルダータイプである。サポーターは支援するステークホルダーでありチェンジエージェントである。サポーターはしばしば強力な指導連合(83)の一部であり、インスピレーションを与え、やる気をそぐ要因を取り除く。サポーターは、スクラムチームが繁栄することを支援し、組織のワークフロー・プロセス・システム・プロダクト・サービス・作業環境がスクラム適用と創発(71)と一貫するよう影響を与える。サポーターは必要な時と場所で、または要求に応じて参加すべきである。価値創造はしばしば他のステークホルダーとの効果的で建設的なコラボレーションを必要とする。
組織の規模に応じて、サポーターの例には、同僚、意思決定者、資金提供者、ガバナンス監督、マネージャー、特定分野のエキスパート、マーケティング、HR、財務、調達、スクラム導入経験者が含まれる(ただしこれらに限定されない)。この文書で推奨されることをスクラムチームができるようにエンパワーメントしないサポーターは、サポーターとはいえない。経営層と役員は、サポーターが支援できる環境を育むうえで、重要な役割を持つ。サポーターは、スクラムチームにとって価値のあるリーダーシップを発揮すべきである。
top人工知能
人工知能(AI)はますます作業環境の一部となり、ディスカバリー、意思決定、プロダクト開発、価値実現におけるスクラムチームの能力を大幅に拡張する可能性がある。
AIは以下を通じてスクラムを強化する可能性がある:
- 経験的プロセス制御(64-66):AI駆動の分析により、透明性・検査・適応が改善される。
- 認知的拡張:AIにより、人間のスクラムチームメンバーは戦略的・創造的・倫理的な検討に集中できる。
- 継続的な価値適応:AIは、リアルタイムのユーザーフィードバックとトレンドに基づき、プロダクトバックログアイテムの更新と再優先順位付けを行うことができる。
- システム洞察:AIは隠れた相互依存関係を特定し、データに基づいた意思決定を改善する。
可能性は無限である。スクラムチームは以下のためにAIを活用できる:
- テキスト内の曖昧さを見つけ出し、自らの推奨や結果に偏り、誤り、意図しない結果が含まれていないかを継続的に検査する。
- モデルとアプリケーションを定期的に検証し適応させる。
- プロダクトバックログの順序付け(シーケンス化)における透明性を促進する。
- AIチームメンバーとしてエージェントを作成する。
- AIは既存の思考を意図的にテストし挑戦するのに役立つ。
危険もまた、無限にあるものだ。 すべてのアウトカムに対して、人間に説明責任があることを明確に維持した上で(スクラムにおける説明責任に従う)、 強力だが監督された意思決定パートナーとしてAIを使う。 これは「ヒューマン・イン・ザ・ループ」として知られている。 AIによって、最小のコストでイノベーションと効果性を高めることができる。 しかし、人間の説明責任を置き換えることはできない。 AIはスクラムにおける経験的プロセス制御(64-66)と倫理的(57)意思決定を支援すべきであり、 上書きしてしまってはならないのだ。 スクラムチームは、 価値あるアウトカムの提供・エビデンスの評価・プロフェッショナリズムを守ることに対して、 引き続き説明責任を負う。
AIは善意に基づいて使用されれば、人を支援するツールになりうる。 AIツールは、 他の貢献者を評価する際と同様に 心理学的フロー(70)や学習において、評価されるべきである。 フィードバックループを改善するだろうか? 仮説をより迅速に検証するのに役立つだろうか? 行動するだろうか? 行動するならば、 倫理的(57)な行動といえるだろうか?
心理学的フロー(70)は、活動への完全な没頭と楽しみの状態であり、行動と認識が融合し、時間が異なって過ぎるように見える。
スクラムは、スクラムチームが小さく、時には可逆的な試行を使用してAIを責任を持って実験することを奨励する。適応と検査は、プロダクトだけでなく、AIが提供にどのように統合されるかにも適用される。
焦点は、チームワークとコラボレーションの人間の力学に留まるべきであり、AIは潜在的な支援として位置付けられる。
topプロダクト開発者
「プロダクト開発者」は役割および説明責任の一つである。すべてのプロダクト開発者はインクリメントを作成するために必要な一通りのスキルを合わせ持つべきである。これらのスキルセットは機能横断型とよく呼ばれる。
プロダクト開発者は人間でも自動化された存在でもよい。人間のプロダクト開発者は、リリース可能なインクリメントのあらゆる側面をスプリント毎に作成、調査、検査、適応することを 確約 している。彼らの主な 集中 は現在のスプリントにある。ただし、プロダクト開発者の一部のキャパシティは将来に向けたリファインメントや、結果からのフィードバック(結果フィードバック)、副次的影響、その他の学習の検査に投資されることが多い。
プロダクト開発者はアウトプット完成の定義を遵守し、実質的な改善を目指す。プロダクト開発者は、1つのプロダクトに 集中 することで最良の結果を達成する。ある時点でプロダクトオーナーまたはスクラムマスターがスプリントバックログのアイテムに対する作業に取り組む場合、その作業はプロダクト開発者として実行する。
プロダクト開発者は状況に応じて適切な行動を取る必要がある。例えば、協力者、クリエイター、技術的品質、探索、デリバリー、価値検証の推進者として行動するなどがあるが、これらに限定されない。
少なくとも1人のプロダクト開発者は人間であるべきである。 複数の人間のプロダクト開発者は多くの場合に認知的多様性を向上させ、複雑性への対応に役立つ。
プロダクト開発者は常に以下に対して説明責任を負う:
- スプリントゴール達成のための創発的な計画をスプリントバックログ内で作成する
- アウトプット完成の定義を遵守し改善することで品質を作り込む
- 毎スプリント少なくとも1つの使用可能なインクリメントを作成する
- アウトカム完成の定義により導かれるデータなどを通じて学習する
- スプリントゴールに向けて日々計画を適応させる
- プロフェッショナルとしてお互いに責任を負う
- 実質的な改善
文脈は重要であり、その場で起きている特定の状況を考慮することが重要である。しかし経験則として、プロフェッショナルとしての意志、準備、能力がないプロダクト開発者は、その役割から退くべきである。
topプロダクトオーナー
プロダクトオーナーは役割および説明責任の一つである。プロダクトオーナーは人間でなければならない。効果的であるために、プロダクトオーナーはプロダクトのリーダーであるべきである。プロダクトオーナーは長期価値を最大化し、価値がどこにあり、いつ必要かを知る必要がある。プロダクトオーナーは、すべてのレベルおよび関連するすべてのビジネス領域において業務を行うことが求められる。プロダクトオーナーは、ステークホルダー・スクラムマスター・プロダクト開発者と協働して価値を創出する。
プロダクトオーナーは、プロダクトバックログを用いて、何を構築するか、そしておおよそどの順序で構築するかを定義する。 プロダクトオーナーは常にプロダクトゴールを念頭に置いており、主要な 集中 は、あらゆる段階で長期的な価値を最大化することである。
プロダクトオーナーは、詳細なプロダクトバックログアイテムの分析と記述によって定義されるものではない。 プロダクト開発者を信頼せずに細かく管理・監督することに費やす分だけ、 より戦略的に思考し、よりステークホルダーと連携し、 より価値を生み出すための機会が奪われるのである。 プロダクトオーナーは状況に応じて適切な行動を取るべきであり、 それには以下が含まれる(ただしこれらに限定されない)。 ビジョナリー、顧客代表、協力者、影響者、 実験者、意思決定者、 そしてステークホルダーエンゲージメント・明確性・プロダクト品質・価値実現の推進者など。
プロダクトオーナーは常に以下に対して説明責任を負う:
- ステークホルダーエンゲージメント・ステークホルダーとその権力・期待・ニーズ・要望の理解。
- 必要に応じた継続的な感知・傾聴・学習・適応。
- 以下の事項(ただしこれらに限定されない)においてトレードオフのバランスを取り続けること:
- 品質・速度・ケイパビリティ・リスク削減・価値・シンプルさ(149)。
- ステークホルダー・しばしば相反する複数の期待と制約。
- 価値・作業風土・潜在顧客。
- プロダクトゴールを策定し、それを明確に伝えること。
- 一貫性のあるプロダクトのナラティブを構築し、それを効果的に伝えること。
- プロダクトバックログアイテムの作成と明確なコミュニケーション。
- プロダクトバックログアイテムの並び替え。
- プロダクトバックログの透明性が高く、関係者に正しく理解されることの保証。
- アウトカム完成の定義において、測定指標に基づくアウトカムを効果的に伝えること。
- アウトカム完成の定義に対する最終決定権。
- 高品質な価値の創造・ディスカバリー・デリバリー・検証の促進。
- 必要に応じた他のプロダクトマネジメント活動。
プロダクトオーナーは、上記の作業を自ら実施することもできるし、スクラムチームと協力してその作業に関する責任を相互に合意することもできる。いずれにしても、プロダクトオーナーが説明責任を負う。
プロダクトオーナーが成功するためには、すべてのステークホルダー・サポーターは、その意思決定を 尊敬 すべきである。これらの意思決定は、プロダクトバックログの内容・順序・スプリントレビューで検査可能なインクリメント…を通じて可視化される。プロダクトオーナーは組織から権限を委譲されている。
プロダクトオーナーシップには、優れたプロダクトマネジメントスキルおよびドメインに関するスキルが求められる。これらのスキルを欠くプロダクトオーナーは、必要な専門性を身につけるまでの間、支援とガイダンスを受ける必要がある。文脈は重要である。しかし経験則として、プロダクトマネジメントスキルを身につける意思・準備・能力のいずれも持たないプロダクトオーナーは、その職務を辞するべきである。特定分野のエキスパートが、必ずしもプロダクトオーナーに最適であるとは限らない。なぜなら、プロダクトマネジメントスキルとリーダーシップが求められるためである。例えば、プロダクト開発者の方が適切である場合も多い。
スクラムチームが不適切に複数の製品、プラットフォーム、またはプロジェクトに取り組む場合、各プロダクト、プラットフォーム、またはプロジェクトのマネージャーはプロダクトオーナーのステークホルダー(およびサポーター)となり、長期的な価値を最大化するために協力する必要がある。スクラムはスクラムチームが 集中 と 確約 を維持することを奨励し、価値あるアウトカムを届け、「フィーチャーファクトリー」として運営するリスクを回避することを支援する。
プロダクトオーナーは一人の人間であり、委員会やテクノロジーではない。プロダクトバックログを変更したい人は、プロダクトオーナーを説得する必要がある。プロダクトオーナーは長期的な価値を最大化し、その過程でしばしばトレードオフを行う。
topスクラムマスター
スクラムマスターは役割および説明責任の一つである。スクラムマスターは人間でなければならない。スクラムマスターはチェンジエージェントであり、組織全体のあらゆるレベルや事業領域で活動する。スクラムマスターは模範を示してリードし、プロダクトオーナー、スクラムチーム、ステークホルダー、サポーターがスクラムを適用する際の効果性を高めるよう導く。スクラムマスターは複雑性(30-35)を理解し、次の正しい行動を可能にするスキルを備える。
スクラムマスターは状況に応じて適切に振る舞う必要がある。これにはガイド、コーチ、メンター、教師、観察者、障害物除去者、チェンジエージェント、効果性のファシリテーター、継続的改善の推進者などが含まれるが、これらに限定されない。一方でスクラムマスターはチーム管理者、進捗管理者、タスク指示者、ルール決定者、会議室予約係、レポートやダッシュボードの管理者、議長、ヒーロー、調整役ではなく、すべてをチームの「自己管理」に任せて不在のスクラムマスターでもない。
スクラムマスターは、スクラムチーム・ステークホルダー・サポーター・影響を受ける人々が、本文書で説明されている経験主義(67)・自己管理・スクラム適用の効果性を高めることに説明責任を負う。スクラムマスターはスクラムチームが解決できない、進捗を阻害したり遅らせたりするあらゆる障害物の除去に取り組む。
スクラムマスターは、さまざまな形でスクラムチーム、プロダクトオーナー、サポーターを支援する:
- 全員がスクラムの理論と実践を理解できるよう支援する。そのために必要に応じて教育やコーチングを行う
- スクラムチームとサポーターが様々な方法で継続的に改善できるよう支援する
- タイムリーで意図的な目的を持った相互作用を促進する
- スクラムチームが適切なアウトプット完成の定義を持てるよう努める
- すべてのスクラムイベントが実施され、建設的かつ生産的であり、タイムボックス内で完了するようにする
- プロダクトに関連する作業や効果的なスクラム適用を阻害する障害物を取り除く
- 自己管理(49)と機能横断な行動に向けたコーチング
- プロダクトゴールおよびアウトカム完成の定義の実現に向かうために、アウトプット完成の定義を満たす価値の高いインクリメントの作成をスクラムチーム、ステークホルダー、サポーターがサポートすることの重要性を理解できるように支援する
- 適応性(80)を改善し、フロー(価値の流れ)を最適化する
- エビデンスに基づく自信を育みながらも、過信を避けるために相手の気持ちに共感しタイムリーであろうとする
- スクラムチームやサポーターがチェンジエージェントとして振る舞い、あらゆることに主体的に行動するよう促す
- 信頼、コラボレーション、高パフォーマンスを促進するスクラムの価値基準に沿ってスクラムチームが効果的に行動することを支援する
- スクラムチームが価値ある作業を提供し、フィードバックを得て、必要に応じて迅速かつ頻繁に再作業をできるようにする
スクラムマスターは、さまざまな形でスクラムチームを支援する:
- スクラムチームの立ち上げ、スキル向上、継続的改善を支援する
- 価値を提供する明確で簡潔なプロダクトバックログアイテムの必要性についてスクラムチームに理解してもらう
- スクラムチーム全体が互いに、そしてステークホルダーと意図的かつ目的を持って協力し、アウトプット完成の定義を尊重し、アウトカム完成の定義に沿って価値の高いインクリメントを作成することに集中できるよう常に意識を向ける。
スクラムマスターは、さまざまな形でプロダクトオーナーを支援する:
- 効果的なプロダクトゴールの定義とプロダクトバックログ管理の⽅法を探すことを支援する
- 複雑な(30-35)環境における創発的なプロダクト計画の策定を支援する
- アウトカム完成の定義に沿って測定されたアウトカムをプロダクトオーナーが表現できるようにする
- 価値を提供する明確で簡潔なプロダクトバックログアイテムの必要性についてプロダクトオーナーに理解してもらう
- プロダクトオーナーが価値実現に 集中 できるよう支援する
スクラムマスターは、さまざまな形でステークホルダーを支援する:
- 専門知識を超える取り組みが必要なとき、影響を受ける人やステークホルダーが以下を理解し採用することを手助けする:
- 後から振り返ってはじめて因果関係が明らかになるような、複雑な(30-35)仕事における経験主義的アプローチ
- 経験的プロセス制御の枠を超えたアプローチ。例えば、安全に失敗できる実験の複数並行した実行、新たな思考の追求、外適応、経験的な直感の試行。外適応(exaptation)とは、ある目的のために作成または使用されたものを、新たな状況や不透明な状況において、異なる目的に使用すること
- 「アイテムを仕掛中にするのはやめ、完成させる活動を始めよう」というモットーに沿う行動を促進する
- 要求・必要に応じて、ステークホルダーのコラボレーションを促進する
- 価値を提供する、明確で簡潔なプロダクトバックログアイテムの必要性についてステークホルダーの理解を手助けする
- ステークホルダーが価値実現に最も 集中 できるよう手助けする
スクラムマスターは、さまざまな形でサポーターと協働する:
- スクラム適用においてサポーターに対し指導・トレーニング・コーチする
- 効果的なスクラムの適用を阻害している要因を明確にする
- スクラム適用を支援する方向への規律ある創発的変化を促進する
- 管理の容易さからデリバリーの容易さを重視する組織への変革を促進する
スクラムマスターは、さまざまな形で組織と協働する:
- 組織へのスクラム適用を指導・トレーニング・コーチする
- 組織内のスクラム適用計画を策定し助言する
- 関連部署とスクラム適用を支援する方法について協議する
- スクラムの適用を妨げる障害物を取り除く
スクラムマスターは組織全体を支援するために他のスクラムマスターやサポーターとチームを組むことができる。必要に応じて他のチェンジエージェントやリーダーと協力することもできる。スクラムマスターはチェンジエージェントとしてスクラム適用の品質に説明責任を負い、その品質を改善するために他のチェンジエージェントと協力して進めるべきである。
スクラムマスターは1人の人間であり、委員会や技術ではない。スクラムマスターはプロダクトオーナー、スクラムチーム、ステークホルダー、より大きな組織に奉仕する。チェンジエージェントかつリーダーであり、一般的に人々を変革へ参加するよう招待すべきである。スクラムマスターが価値の流れ(68,69)、リーン(63)、複雑性理論(30-35)、そしてこの文書に記載されたその他の支援的・補完的理論を理解し、どのように(How)行動すべきかを人々に示すことが望ましい。粘り強く、学びと変化への飽くなき欲求を持っていることもスクラムマスターに求められる素養である。
スクラムマスターは、他者の成功に貢献することを大きなやりがいとする役割である。スクラムマスターは目立とうとはしない。優れたリーダーと同様に、功績を他者に譲り、物事がうまくいかない時には責任を取る。長期的にスクラムマスターを務めることでスクラムチームの潜在能力を最大限引き出すことができるが、それはプロダクト開発者がチームとして自己管理を身につけた場合に限る。親のようなスクラムマスターの振る舞いは自己管理スクラムチームの成長を妨げる。文脈は重要だが、経験則として、変革の担い手となる意志、準備、能力がないスクラムマスターはその役割から退くべきである。
top拡張パックにおけるスクラムの作成物
スクラムの作成物は、スクラムチームとステークホルダーが価値を生み出すと信じている内容について、透明性をもたらす。これにより、誰もが同じ基準で作業内容を検査し、必要に応じて適応できるようになる。
また、各作成物には「確約(コミットメント)」が含まれている。
- ステークホルダーに提供するプロダクトについては、アウトカム完成の定義
- プロダクトのアップデート予定であるインクリメントについては、アウトプット完成の定義
- プロダクトバックログについては、プロダクトゴール
- スプリントバックログについては、スプリントゴール
インクリメント(アウトプット)がリリースされることで、プロダクトが価値(アウトカム)を生み出すことになる。ここでいう価値とは、測定可能または観察可能な形で、ステークホルダーの視点から見た、期待やニーズ、要望が満たされたり、新たに生み出されたりすることである。
これらのコミットメントは、透明性・検査・適応というスクラムの三本柱を強化し、経験的なプロセス制御を可能にする(64-66)。プロダクトゴールは、プロダクトのアウトカム完成の定義において反対のエビデンスや観察が現れない限り、固定される。アウトプット完成の定義はスプリント中に妥協されることはない。では、代わりに何が見直されたり変更されたりするのかというと、例えば、特定のプロダクトバックログアイテムの受け入れ基準や、特定の機能の実装内容や精度、あるいはスプリントゴール達成のための代替となるプロダクトバックログアイテムなどが挙げられる。
もしプロダクトゴールが頻繁に変わるようであれば、それは何かがうまくいっていない兆候を示しており、重要なことに 集中 できていない可能性がある。集中 とは、プロフェッショナルとして何に取り組むかだけでなく、何に取り組まないかを決めることでもある。
topプロダクト
プロダクトは作成物の一つである。プロダクトは包括的な体験またはプラットフォームとなることができる。また、サービス、物理的、デジタル、またはハイブリッドであり、ステークホルダー(ユーザーを含むがこれに限定されない)に継続的な価値を提供する。
体験とは、理想的には組織外のユーザーを含むステークホルダーのニーズを満たすように設計された特定のソリューションである。それは価値を提供する直接的な相互作用を提供する。ステークホルダーの特定の課題や機会、またはそれらの組み合わせを解決することに焦点を当てている。対象となるステークホルダーには、顧客、意思決定者、ユーザーなどが含まれるがそれらに限定されない。
プラットフォームとは、体験を提供するためのプロダクトを開発者が構築することを可能にするアーキテクチャデバイス、基盤となるインフラストラクチャ、またはツールセットである。プラットフォームは複数のプロダクトを構築するための基盤を提供し、直接的なユーザーとの相互作用よりもエンジニアのためのスケーラビリティ、信頼性、柔軟性に重点を置く。
スクラムチームとステークホルダーはこのプロダクトが何であるか、顧客、ユーザー、または意思決定者が誰であるか、そしてどのようなタイプのプロダクトなのか(エンドユーザー向け、従業員向け、スクラムチーム向けなど)を常に明確な理解を持つ必要がある。プロダクトのタイプにより異なるステークホルダーが存在し、価値創出の方法も異なることを理解する必要がある。プロダクトは進化的であり、しばしば長期にわたり存続する。透明性を高め、価値を最大化するために、プロダクトには単一のプロダクトバックログが必要である。
文脈は重要である。しかし、経験則として、プロダクトが牽引力を生み出し、それを維持するためには、以下の条件を満たすことが有効である:
- 満足度のギャップに十分に対処している
- 価値があり、望ましく、実行可能で、使用可能で、実現可能で、安全で、セキュアである
- プロフェッショナリズムが組み込まれている
- 明確で説得力があり、成果指標に基づくプロダクトビジョン、プロダクト戦略、プロダクトゴールを備えている。その中には意図、根拠、避けるべきゴールが含まれる事が多い
- 創発(71)を特定、表現、測定するために適応し改善する
- 拡張可能であり、保守可能である
プロダクトは、我々が何のために仕事をしているのかを表現したものである。
top確約:アウトカム完成の定義
アウトカム完成の定義はコミットメントの一つである。これは、実現された価値を示すために必要な観察可能なエビデンスの測定基準(定量的または定性的)を記述し、しばしば価値検証と呼ばれる。これはプロダクト全体、または特定のゴールに対して設定される。バイアスや誤った解釈を避けるため、実装を開始する前に価値検証のための測定基準を定義しておくことが最善であることが多い。
アウトカムとそれに関連する解釈は、将来の適応のための情報として役立ち、理想的には意図したステークホルダーへの影響(ビジネスやユーザーの影響を含むがそれに限定されない)を確認することを目的とする。つまり、アウトプットが期待されたアウトカムを実現し、真の価値を提供したかどうかを測定する。これは、特定の大きな機能や複数の機能などに向けて設定された特定のゴールを対象とし、プロダクトのテレメトリ(プロダクト自身がその利用状況を測定する)によって検証される。あるいは、プロダクト全体を対象とし、戦略的影響や実施された戦略展開(120-124)の有効性の検証に関するものである。またはこれら両方の組み合わせである。
アウトカム完成の定義は状況証拠よりも直接的な証拠(エビデンス)を優先する。例えば以下のようなものである:
- 顧客のアウトカムは顧客満足度の向上、顧客の長期コスト削減、対応した顧客の案件数など、測定可能な顧客価値の提供に集中することができる
- ユーザーのアウトカムはタスクをより効率的に完了することや新機能の利用など、問題を解決し体験を改善するユーザー行動の具体的な変化に対処することができる
- プロダクトステークホルダーのアウトカムは、これらの行動変化をプロダクトのパフォーマンス指標に結び付けることができる。例えば、顧客、意思決定者/ユーザー指標のトレンド、プロダクトとしてのリリースまでの時間、学習までの時間、ピボットまでの時間など
- ビジネスステークホルダーのアウトカム。例えば、コンプライアンス、長期的なコスト削減、ビジネス成果、市場シェアの傾向、すべてのプロダクトにわたる顧客満足度、組織としてのリリースまでの時間、学習までの時間、ピボットまでの時間など
- スクラムチームのアウトカム。技術的能力の向上(心理学的フロー状態(70)、リリース頻度、ツール、スキル、技術的負債、UXまたはCX負債、開発能力)、実質的な改善やイノベーションのための風土や文化など
ユーザーエクスペリエンス(UX)負債やカスタマーエクスペリエンス(CX)負債とは、意図的であるか否かに関わらず、プロダクトやサービスをユーザーや顧客にとって使いにくく、楽しめず、効果的でないものとする設計および実装上の選択の総和である。この負債を認識し、追跡し、対処することは、真にユーザーのニーズと期待に応えるプロダクトを提供するために不可欠である。
時間の経過に伴い測定することで、プロダクト、市場、ステークホルダーのトレンド(顧客やユーザーを含むがこれらに限定されない)が透明化される。これらはスプリントレビューを含めスプリントの期間中のいつでも参照可能である。
topインクリメント
インクリメントは作成物の一つである。これはアウトプット完成の定義の標準まで基準に従って完了した作業を統合したものである。インクリメントはアウトプットでありプロダクトの候補である。
プロダクトバックログアイテムの完了により、スプリントでは複数のインクリメントを作成可能である。各インクリメントは徹底的に検証され、利用可能であり、すべての以前のインクリメントと統合されている。結果として得られる集約されたインクリメントは、可能な限り早く、遅くともスプリントレビューで検査される。インクリメントは結果からのフィードバック(結果フィードバック)を可能にするために利用可能かつ有用でなければならない。インクリメントは継続的な価値検証を可能にするため、スクラムの中心的な存在である。
インクリメント候補は、アウトプット完成の定義の品質基準を満たすまでインクリメントとして認められない。リリース可能なのはインクリメントのみである。インクリメントはプロダクトゴールに向けた具体的な踏み⽯となるべきである。スプリントレビューより前にインクリメントをステークホルダーにデリバリーしたり、リリースされたりする可能性がある。最良の価値検証は結果からのフィードバック(結果フィードバック)を通じて実現される。
topコミットメント:アウトプット完成の定義
アウトプット完成の定義はコミットメントの一つである。これはステークホルダーにインクリメントを提供可能とするために適正に評価をしていること(デューデリジェンス)を表す品質基準を正式に記述したものである。
アウトプット完成の定義は通常、技術的標準とプロダクト品質の両方を含む(ただしこれらに限定されない)。組織から最低限の基準としてアウトプット完成の定義を提供していない場合は、スクラムチームが作成する。プロダクトに関わるスクラムチームが複数ある場合、共通の基盤として同じアウトプット完成の定義を共有するが、それを改善することもできる。
スクラムチームはアウトプット完成の定義を遵守し、継続的に改善する義務を負う。インクリメントは累積的なものである。アウトプット完成の定義はプロダクトとそのステークホルダーの利益のために存在する。これはインクリメント全体に対する総合的な品質基準であり、個々のアイテムの基準(例:受け入れ基準)ではない。
リリースされたインクリメントは、アウトカム完成の定義による価値検証のための結果からのフィードバック(結果フィードバック)を可能にする。
topプロダクトバックログ
プロダクトバックログは作成物の一つである。これは創発的かつ順番に並べられた、プロダクトゴールの達成に必要なプロダクトバックログアイテムの一覧である。プロダクトバックログは透明性(作業の明確さ)を提供し、スクラムチームにとってプロダクトゴールを達成するために必要な作業の唯一の情報源である。プロダクトオーナーは常に価値を意識し、プロダクトバックログ内のプロダクトバックログアイテムの順序付けを行う。プロダクトバックログが小さいほど、透明性はより高める。
topプロダクトバックログアイテム
プロダクトバックログアイテムは、プロダクトバックログ内にある潜在的に価値のあるアイテムである。これは必ずしも特定の形式である必要はない。プロダクトバックログアイテムは問題や機会に対処することを目的としている。アウトプット完成の定義に加えて、作業が完了したことを判断するための受け入れ基準を含むことができる。要求された内容を正確に提供したとしても、十分なアウトカムが得られない場合がある。そのため、アウトカム完成の定義に含まれているものに加えて、十分な価値が提供されたかどうかを示すための明確なアウトカム基準をプロダクトバックログアイテムに含むことができる。
プロダクトバックログアイテムは価値を発見または提供するための単一の作業単位である。プロダクトバックログアイテムは、プロダクト開発者が作業している間であっても、いつでも進化する可能性がある。リファインメントの過程で、価値を提供をでき、より小さく、スクラムチームにとってより理解しやすいプロダクトバックログアイテムに分割される。時にはプロダクトバックログ内のアイテムがプロダクトゴールと無関係である場合もある。そのような状況が頻繁に起きるのであれば、 集中 のレベルが適切に保たれているか検査する価値がある。スクラムチームおよびステークホルダーは、アウトプットよりもアウトカムに 集中 し、トレードオフのバランスを保ち、スクラムチーム が「機能工場」や「発見工場」にならないようにする必要がある。
top受け入れ基準
受け入れ基準が存在する場合、アウトプット完成の定義の記述に加えて、特定のプロダクトバックログアイテムのアウトプットがいつ完了するかを記述する。リファインメントされたアイテムの受け入れ基準は、何 が要求されているかについて曖昧さのない明確な基準を示す必要がある。受け入れ基準は、アウトプット完成の定義でまだ扱われていないプロダクトバックログアイテム固有の機能的・非機能的な基準を含む。受け入れ基準は、プロダクト開発者が作業している間であっても、いつでも進化する可能性がある。
top成果基準
成果基準が存在する場合、プロダクトバックログアイテムの意図を記述する。つまり、何(What)の背後にあるなぜ(Why)を記述するものである。成果基準の達成は、しばしばプロダクトのアウトカム完成の定義を補完する。成果基準は、アウトカム完成の定義でまだ扱われていないプロダクトバックログアイテム固有の基準を含むことがある。疑問が生じた場合、成果基準は方向性を示す。それは、ナラティブ形式または測定可能な指標の形式を取るが、理想的には後者である。成果基準は、プロダクト開発者が作業している間であっても、いつでも進化する可能性がある。
topリファインメント
リファインメントは活動の一つである。これは正式な場合(追加イベント)もあれば、非公式な場合もある。リファインメントは明確さを育み、リスクを軽減する継続的な創発プロセスである。これは選択された、または直近で対応予定のプロダクトバックログアイテムが準備完了(アウトプット完成の定義に従って数日以内に完了できる)であるために必要な十分な理解と確信をチームに形成する。様々な種類の依存関係が考慮される。
リファインメントは、プロダクトバックログアイテムをより小さく、(主にスクラムチームにとって)より理解しやすく分解することを含む。説明、受け入れ基準、成果基準、並び順、サイズなどの詳細を追加することができる。属性はさまざまあるが、スクラムチームにとって意味のあるものでなければならない。リファインメントには、問題や機会の検証、ユーザーや顧客の体験、ソリューションの検証などの調査活動が含まれるがこれに限定されない。プロダクト開発者のみがプロダクトバックログアイテムのサイズを決定する責任を負う。プロダクトオーナーは、潜在的なトレードオフを理解し、選択できるよう支援することでプロダクト開発者に影響を与えることができる。
リファインメントの参加者には、多くの場合ステークホルダーやスクラムチームのメンバーが含まれる。プロダクト開発者がステークホルダーと直接作業することも珍しいことではない。リファインメントは、通常プロダクトオーナーにより支援またはファシリテートされる。プロダクト開発者がプロダクトに対する幅広い理解を持っている場合、プロダクトオーナーはプロダクトオーナーシップの発揮により 集中 できる。一般に、リファインメントは今後のスプリントに向けて明確さ、方向性、潜在的な 集中 を提供する将来を見据える活動である。
topコミットメント:プロダクトゴール
プロダクトゴールはコミットメントの一つである。これはプロダクトオーナーがオーナーであるプロダクトバックログを通じて表現される。プロダクトゴールは現時点における単一かつより戦略的で野心的な目標(なぜ(Why))である。プロダクトに方向性を示し、プロダクト開発者がプロダクトに取り組むための 集中 の源となる。プロダクトゴールはより戦術的な目標であるスプリントゴール(スプリントのなぜ(Why))を通じて、プロダクト開発者が向かうべき明確で価値のある方向性を提供し、透明性を高める。
プロダクトゴールはスクラムチームとステークホルダー(および サポーター)の中期的な目標である。次のプロダクトゴールに移る前に、スクラムチームはひとつのプロダクトゴールを達成(または放棄)しなければならない。
プロダクトゴールは通常、価値に関する未証明の仮説である。満足度ギャップを埋めるもしくは大きくするための仮説のセットを含む、様々なものひとつとして表現される。それは、多様なステークホルダー(顧客やユーザーを含むがそれに限定されない)の期待や制約の中から、焦点を絞り適切なバランスを取るものである。検査と適応を通じて、不確実性(72)、結果からのフィードバック(結果フィードバック)、副作用、その他の学習を受け入れることが不可欠である。
topプロダクトビジョンについては? {#what-about-a-product-vision?}
多くの組織では、未来の可能性を見える化するためにプロダクトビジョンを活用する。スクラムチームは、プロダクトゴールを検討するためのインプットとしてビジョンを用いることができる。プロダクトビジョンは、意味のある長期的な価値のある望ましいアウトカムのまとまりである。中期的なプロダクトゴールは、多くの場合、長期的なプロダクトビジョンに向けた踏み石となる。
スクラムチームとステークホルダーがプロダクトゴールに向けての検査と適応を行う際、プロダクトビジョンやプロダクトゴールも適応が必要な場合があるという考えに公開(Open)である必要がある。多くの場合、ビジョンに向かって進む中で、複数のプロダクトゴールを一つずつ達成していく。
重要な点は、プロダクトビジョンは創作作品であることであり、必ずしも真実とは限らない。仮説を立てて、方向性を持って実験を重ねることが不可欠であり、そこでスクラムが最も価値を発揮する。
プロダクトビジョンは多くの場合、刺激的であるが、規模が大きすぎて負担に感じることもある。プロダクトゴールは、プロダクトビジョンのより具体的な垂直スライスや、またはプロダクトビジョン実現のきっかけとなることで、負担感を軽減する。
topスプリントバックログ
スプリントバックログは作成物の一つである。スプリントゴール(スプリントのなぜ(Why))、スプリントのために選んだプロダクトバックログアイテムのセット(何(What)をやるのか、つまり予測)、そして、多くの場合、インクリメントを提供するための実行可能な計画(どのように(How))で構成される。これにより、スプリント全体を通じた透明性(作業の明確性)が高まる。
スプリントバックログは、開発者による開発者のための計画である。これはスプリントゴール(スプリントのなぜ(Why))を達成するために、どんな作業が必要かを開発者の視点でまとめている。もしスプリントバックログのほとんどのアイテムがプロダクトゴールと関係ない状況が続いてしまうと、スクラムの 集中 と 確約 の価値基準が守られなくなる。
スプリントゴールの文脈の中においても、プロダクト開発者がより多くのことを学ぶにつれ、スプリント全体を通じた、予測すら含めた計画を更新する。スプリントバックログには、まず始めるのに十分な作業が入っていればよい。例えば、最初は、スプリントゴールに向けた1つまたは2つのプロダクトバックログアイテムで十分だ。プロダクト開発者はデイリースクラムにて、またはより頻繁に、スプリントゴールに向けた進捗を検査し、不確実性に適応し対応することを学ぶ(72)。
topコミットメント:スプリントゴール
スプリントゴールはスクラムチームによって作成され、所有されるコミットメントの一つである。スプリントゴールはプロダクト開発者にとってのスプリントの唯一のかつ統一された目的(なぜ(Why))であり、スプリントプランニングで作成される。スプリントゴールの達成はプロダクト開発者による確約である。スプリントバックログ(なぜ(why)、なに(what)、そして多くの場合どのように(how)を含む)は進化する作業に対して 集中 と柔軟性をもたらし、透明性を向上させる。
スプリントゴールはスクラムチームが個別に作業するのではなく、協力して作業することを促進する。もし作業がプロダクト開発者の予想と異なることが判明した場合は、スプリントゴールに影響を与えることがないように、プロダクト開発者はプロダクトオーナーと協力してスプリント内で対応する可能性を調整する。誰もプロダクト開発者に作業の見積りや進め方を指示することはない。
top拡張パックにおけるスクラムイベント
スクラムでは検査と適応のための4つのタイムボックス化されたイベントを組み合わせている。それらを包含するイベントは「スプリント」と呼ばれ、決められた長さのスクラムの5つ目のイベントである。これらのイベントはスクラムの三本柱「透明性」「検査」「適応」 を支える。リリースは理想的には継続的な価値の創出を可能にする。頻度の少ないリリースは、結果からのフィードバック(結果フィードバック)の遅延を招く。
タイムボックスとは、スクラムで定義されているイベントの開始から終了までの経過時間の上限を規定したものである。そのすべての時間を使い切ることを期待したものではない。スクラムにおけるタイムボックスの目的は、そのイベントの本質的な作業に絞ることを促し、望ましい成果を迅速に達成するための 集中 を生み出すことである。スクラムチームにおいては、スプリントの長さは固定しており、それ自体はタイムボックスではない。
イベントはケイデンスを作り出し、スクラムに含まれない他の会議の必要性を最小限に抑える。理想的には、各イベントは同じ時間・場所で開催されることで、複雑性(30-35)を軽減し、習慣の形成を促す。熟練したファシリテーションは効果性を高める。効果性の低いイベントは、スプリントゴール・プロダクトゴール・透明性・検査・適応・スクラムの価値基準に重点を置かなくなるリスクがある。
スクラムの各イベントにはそれぞれの目的があり、深く意味のある作業を含むべきである。スクラムイベントは、検査と適応、立ち止まり、振り返りのための土台となる透明性を提供する。これらのイベントは、構造化された思考と作業、効果性、そしてバランスの取れた作業負荷を支える。
スクラムチームおよびサポーターが適切な対象に 集中 するためには、コミュニケーションが鍵となる。スプリント以外のイベントは、一貫性が損なわれない限り、より短い時間で行うことも可能である。
topスプリント
スプリントはイベントの一つであり、ここでアイデアが価値に変わる。スプリントは入れ物となるイベントである。作業が実施される定められた期間の反復である。スプリントは 集中 と安定性をもたらす。スプリントは最大で4週間である。前のスプリントの終了直後に新しい スプリントが始まる。プロダクトゴールを達成するために必要なすべての作業はスプリント内で行われる。
スプリントはスクラムにおける心臓の鼓動であり、スクラムチームがアイデアを利用可能で、有用で、潜在的に価値のあるインクリメントへと変える場である。インクリメントは早期の結果からのフィードバック(結果フィードバック)の必要性を考慮し、可能な限り早くリリースされる。一部のステークホルダー(顧客、意思決定者、ユーザーを含むがこれらに限定されない)へリリースがされていないと、タイムリーに結果からのフィードバック(結果フィードバック)が得られなくなる。スプリントでは複数のインクリメントが作成されることもある。スクラムチームは可能な限り早期かつ頻繁にリリースし価値検証を行うよう努めるべきである。
スプリントでは、
- スプリントゴールの達成を危険にさらすような変更はしない。
- インクリメントにより品質を低下させるべきではない。
- プロダクトバックログを必要に応じてリファインメントする。
- より多くの知見を得るにつれて、現在の作業は明確化され、スプリントゴールに影響を与えない範囲でプロダクトオーナーと再交渉される可能性がある。
スプリントによって、プロダクトゴールに対する進捗の検査と適応を少なくとも4週間ごとに確実行うことで、アウトカムが実現される。スプリントが長すぎると、スプリントゴールが役に⽴たなくなり、複雑性(30-35)とリスクが増加する。スプリントの期間を短くすれば、より多くの学習サイクルを作り出す可能性があり、同時にリスクを軽減できる。
スプリントを短くするには、リファインメント、垂直スライス、技術ドメインおよびビジネスドメインの知識といった能力の向上が求められる。文脈は重要であり、スクラムチームは適切なバランスを取るよう努める。
進捗の評価や予測のための様々な補完的なプラクティスが存在する。例えば、バーンダウン、バーンアップ、フロー分析、モンテカルロ法、大規模工数見積もり、ファジィ集合(110)などである。これらは有用であるが、経験主義(67)の重要性を置き換えるものではない。複雑な(30-35)環境下では、すでに発生したことは将来を見据えた意思決定に使用されるが、これから何が起きるかはわからない。
スプリントは、明確な成果、定められた期間、明確なコストを持つミニプロジェクトと考えることもできる。ただし、さまざまな作業は並行して発生し、順序が定められた線形的な方法では実行されない。
スプリントゴールがもはや役に⽴たなくなった場合、スプリントは中⽌されることになるだろう。プロダクトオーナーだけがスプリントを中⽌する権限を持つ。 スプリントが短いほど、中止の可能性は低くなる。
topスプリントプランニング
スプリントプランニングはイベントの一つである。スプリントの最初のイベントであり、スクラムチームが 集中 を高め、コミットメントを生み出す場である。
スプリントプランニングにおいて、より戦略的なプロダクトゴール(プロダクトバックログにおけるなぜ(Why))が考慮され、方向性が提供される。スプリントプランニングの過程で、プロダクト開発者はスプリントバックログを作成する。スプリントバックログには短期的かつより戦術的なスプリントゴール(スプリントにおけるなぜ(Why))、最初に特定された作業、そしてデリバリーのための計画が含まれる。
スプリントプランニングは次のトピックに対応する:
topスプリントのなぜ(Why)
プロダクトオーナーは、プロダクトの価値と有⽤性を今回のスプリントでどのように⾼めることができるかについてのアイデアを提案する。次に、スクラムチームが協⼒して、プロダクトゴールに向けてそのスプリントにはなぜ価値があるかをステークホルダーに伝えるスプリントゴールを定義する。スプリントゴールは、スプリントプランニングの終了までに確定する必要がある。
topなぜ(Why)に向けた何(What)
プロダクト開発者は、プロダクトオーナーとの協働を通して、プロダクトバックログからアイテムを選択し、今回のスプリントに含める。スクラムチームはプロダクトバックログアイテムのリファインメントをする場合がある。それによって、チームの理解と⾃信が⾼まる。 選択されたプロダクトバックログアイテムは、他のアイテムと同様にアウトプット完成の定義の基準に従って達成可能である必要がある。
スプリント内でどれくらい完了できるかを選択するのは難しいかもしれない。しかしながら、プロダクト開発者が過去の⾃分たちのパフォーマンス・垂直スライス・今回のキャパシティ・アウトプット完成の定義の理解を深めていけば、スプリントのアウトカムを予測する能力に⾃信が持てるようになる。
成功するスクラムチームは過剰な負荷をかけない。実際、成功するスクラムチームは作業を早めに完了できるよう計画し、予期せぬ事態に備えてバッファを設けることもある(85)。これによりスクラムチームは集中を維持し、品質を向上させ、より早く価値をデリバリーすることでステークホルダーを満足させることができる。慢性的な過負荷や突然の変化は、Jeff Sutherlandが「ベイジアン・サプライズ」と呼ぶ過度なストレスを引き起こし、スクラムチームの心理学的フロー(70)やパフォーマンスに悪影響を及ぼす。明確なコミュニケーション、創発へのプロフェッショナルな対応(71)、そして小さな変化を日常的に行うことで、こうした事態を防ぐ事ができる。このような理由から、スクラムチームは早期のデリバリーを目指すべきである。
top何(What)に対するどのように(How)
作業の進め方はプロダクト開発者の裁量に委ねられている。他の誰もプロダクト開発者に作業の方法を指示することはできない。プロダクト開発者は自ら作業を選択する。プロダクトバックログアイテムをプロダクト開発者に割り当てたり押し付けたりすることは他の誰にもできない。プロダクトオーナーであっても、それは同様である。
スプリントが4週間の場合、スプリントプランニングのタイムボックスは最⼤で8時間である。スプリントの期間が短ければスプリントプランニングの時間も短くすることが多い。文脈は重要である。しかし、経験則として、作業を開始できるだけの計画、例えばスプリントゴールに向けていくつかのプロダクトバックログアイテムを計画するだけでもよい。
topデイリースクラム
デイリースクラムはイベントの一つである。デイリースクラムにおいて、プロダクト開発者はスプリントゴールに向けた進捗について協働し、次のデイリースクラムまで実行可能な計画であるスプリントバックログを更新する。スプリントゴールがすでに達成されている場合、プロダクト開発者はプロダクトゴールに向けた意味のある進捗について協働する。
デイリースクラムは、集中、一体感、緊迫感をもたらし、自己管理を促進する(49)。通常、参加するのはプロダクト開発者のみである。簡素化のため、同じ会議のケイデンス、場所、時間を採用することが多い。
プロダクト開発者は、任意の構造ややり方を選択できる。デイリースクラムは、スプリントゴールの達成に向けたコミュニケーションを改善し、リスクや障害の特定と対処を行い、迅速な意思決定を促進する。その結果、他の会議を不要にする。
プロダクト開発者がスプリントゴールやプロダクトゴールの文脈においてスプリントの計画を調整するのは、デイリースクラムのときだけではない。プロダクト開発者は、より詳細な議論をするために、開発者は⼀⽇を通じて頻繁に話し合う。
価値のフロー(68,69)を促進し、潜在的なアウトカムをより早く実現するために、プロダクト開発者は一度に1つまたは少数のアイテムに集中し、他のアイテムの作業を開始する前にアウトプット完成の定義を満たすべきである。プロダクト開発者は、集中し、進行中のアイテムを少なくし、新しい作業を開始するよりも能動的に作業を完了することで、これを達成することができる。プロダクト開発者が監視するのは、稼働していない人ではなく、停滞している作業である。
デイリースクラムは、1日あたり最大15分間でタイムボックスが設定されており、それより短い時間で行うことも可能である。
topスプリントレビュー
スプリントレビューはイベントの一つである。これは相互作用があり協働的なワーキングセッションである。通常、スクラムチームは現在のプロダクトゴールを共有し、アウトプット完成の定義とアウトカム完成の定義をステークホルダーに提示する。スクラムチームは作業の結果、どのようなトレードオフが行われたか、プロダクトゴールに向けてどれだけの進捗が行われたか(作業の背後にあるなぜ)を共有する。可能であれば、アウトカム完成の定義に向けた進捗の現時点かつ最新の指標が共有され検討される。
スプリントレビューは、プロダクトゴール、プロダクトバックログ、スプリントゴール、学び、インクリメント、ステークホルダーの期待と制約、結果からのフィードバック(結果フィードバック)、副次的な影響、プロダクトの進捗状況、市場動向、さらに、将来を見据えた事項――新たに生まれたアイデアや機会、次に取り得る可能性のあるステップなど――について検査する。
学習したことに基づいて:
- 参加者は次に潜在的に何をすべきかについて感知し、傾聴し、学び、協働する
- プロダクトバックログ(何)が適応され、場合によってはプロダクトゴールも、理想的にはエビデンスや観察結果に裏打ちされ、プロダクトゴールまたは任意のプロダクトビジョンによって方向づけられる
- 参加者は将来のスプリントのためにプロダクトのアウトカム完成の定義を適応させる
ステークホルダーと彼らが価値を置くものを考慮することは常に重要である。ステークホルダーには、法律といった、生物でも人間でもないものも含まれる。
未完了のプロダクトバックログアイテムは将来の検討のためにプロダクトバックログに戻され、提示されない。場合によっては、次のスプリントに移されることもある。
スプリントレビューは、スプリントの最後から2番⽬のイベントであり、スプリントが4週間の場合、タイムボックスは最⼤4時間である。スプリントの期間が短ければ、スプリントレビューの時間も短くすることが多い。
topスプリントレトロスペクティブ
スプリントレトロスペクティブはイベントの一つである。このイベントにおいて、スクラムチームは改善方法について合意する。誤った仮説、すなわちスクラムチームを誤った方向に導く仮説についても検討される。また、有益な事項――特定の技術、プロセス、パターンなど――が指摘されたり、強調されたりすることもある。検査される要素は、作業領域によってしばしば異なる。振り返りは、心理的安全性のある環境においてこそ、より効果的に行われる。
スプリントレトロスペクティブは以下のような改善に最も役立つ変更に焦点を当てる:
- インクリメント
- アウトカム
- プロフェッショナリズム。例:スキル、技術的実践、ツール活用、イノベーションの能力
- 検証済み価値のフロー(68,69)。例:エンドツーエンドフロー指標、市場に出すまでの時間
- 効果性(どのように)。例:技術、プロセス、依存関係
- 相互作用とスクラムチームダイナミクス。例:協働、ワーキングアグリーメント
- 情報ラジエーター。例:プロダクトウォール、各種指標
- 将来のスプリントのためのアウトプット完成の定義
- 将来のスプリントのためのアウトカム完成の定義へのさらなる適応
- アウトカム完成の定義に関する指標の自動取得方法
- その他
最も影響の⼤きな改善は、できるだけ早く対処する。スクラムチームは単なる改善の議論に終始すべきではない。スクラムは意味のある継続的改善の徹底に依存する。いくつかの改善アクションはサポーターの支援に依存するが、それはスクラムチームが改善に向けた純粋な前進、たとえば継続的なわずかな成果の積み重ねを目指すべきでないということを意味するものではない。
スプリントレトロスペクティブをもってスプリントは終了する。スプリントが4週間の場合、スプリントレトロスペクティブは最大3時間である。スプリントの期間が短ければ、スプリン トレトロスペクティブの時間も短くすることが多い。
top複数スクラムチームプロダクト
スクラムチームが大きくなりすぎた場合、同じプロダクトに集中する、複数の結束したスクラムチームに再編成することを検討すべきである。同じプロダクトに複数のスクラムチームが存在する場合、それらのチームは共通のプロダクトゴール、プロダクトバックログ、プロダクトオーナー、基準となるアウトカム完成の定義およびアウトプット完成の定義を共有する必要がある。
スクラムチームの数が増えればより多くの価値が生み出されるという盲目的な思い込みには注意が必要である。スケーリングを行うのは、追加される負荷を上回る明確な利点がある場合に限る。スケーリングを行う前に、単一のスクラムチームが毎スプリント確実にインクリメントを提供できる状態にあることが必要である。スケーリングが避けられない場合には、本書の内容と整合性のあるアプローチを使用するとよい。多くの場合、チームが少ない方がより多くのアウトカムを生み出す。
複数のスクラムチームの文脈においては、コラボレーション、他家受粉、学習の移転、意図的な相互作用を通じて、より機能横断になることでチーム間の依存関係を減らすことができる。必要なスキルは多岐にわたることが多く、業務領域によって異なる。こうした状況下では、意図的で目的のある相互作用やプロフェッショナリズム(継続的インテグレーションを含む)が一層重要となる。
1人のプロダクトオーナーと1つのスクラムチームという構成では、プロダクトオーナーはプロダクトマネージャー、マーケティングディレクター、技術部門責任者などを担うこともある。プロダクトに対して複数のスクラムチームが存在する構成では、理想としては依然としてプロダクトオーナーは1人のみであり、プロダクトに対するリーダーであるべきである。複数のスクラムチームに対応するため、プロダクトオーナーはより戦略的な役割を担い、問題の解決や機会の実現をプロダクト開発者に委任することが多くなる。たとえば、プロダクトの設計やプロダクトマネジメントの側面などが該当する。
プロダクトバックログは透明性を高めるためのツールである。
一般的に、暗黙的(プロダクトバックログのフィルターのように)にしろ明示的にしろ、プロダクトあたりのプロダクトバックログが少ないほど良い:
- プロダクト内のサイロが減少し、プロダクト全体の透明性が高まる。
- プロダクト全体における進捗の追跡がより透明になる。
- プロダクト全体のビッグピクチャーとしての価値の明確さが増す。
- スクラムチームがプロダクトの観点から低い価値のアイテムに取り組んでいることに気づきやすくなる。
- 価値の達成における改善が見られやすくなる。
- プロダクトオーナーは、プロダクトを横断する作業をプロダクト開発者に委任することで、より戦略的な役割を担うようになる。
プロダクトあたりのプロダクトバックログが少ないほど、適応性(80)は高まる。しかし、権限委譲されたオーナーシップ、整合性のある管理範囲、または関連するステークホルダーとの直接的な接点がない場合には、ギャップが生じる。スクラムにより様々な人々やスクラムチームがコラボレーションし、発見や洞察が共有され活用されるように、スクラムは偶発性と多重学習のための土壌を育む。これは、各コンポーネントが孤立したプロダクトバックログを持つ環境では起こりにくい。
「The New New Product Development Game」(29)の文脈における偶然性とは、有用なアイデアや解決策が、綿密な計画ではなく偶然によって生まれることを意味する。スクラムチームが密接に連携し、情報を共有していると、予期せぬ出来事や偶然の発見によって新しいアプローチや答えを見出すことがある。
マルチラーニングとは、チームメンバーが同時に様々な方法で学習することを意味する。メンバーは自分の専門領域だけでなく、他の分野においてもスキルや知識を習得し、個人として、グループとして、そして会社全体の一員として学習していく。これにより、チームは柔軟性を持ち、幅広い課題を迅速に解決できるようになる。なぜなら、全員が互いから学び、共に働く中での経験から学び続けているからである。
適切なバランスを見つけることはジレンマである。常に考慮すべきトレードオフがある。しかし、良い経験則として、プロダクトごとのプロダクトバックログは暗黙的か明示的かを問わず少ない方が良い。それは、マルチラーニングとスクラムチーム、部門、プロダクトを横断した組織的な学習の移転によって実現される。
「The New New Product Development Game」(29)で説明されている組織的な学習の移転とは、ある新製品開発の領域で得られた知識や洞察が、後続の領域や他の部門にも継続的に共有され適用されるプロセスを指す。
組織は往々にして、成果を出すための容易さよりも、管理するための容易さを優先して設計される。価値を届けるために、いくつのスクラムチームがその課題や機会に関与するかを自問してみてほしい。一般的には、その数が少ないほど良い。
チームを指揮統制から解き放つ。調整された自律性を重視する。自己管理スクラムチーム(49)の中およびその間で、目的のある意図的な相互作用を育む。最小限でありながら十分なマネジメントのプロセス、足場、境界のある働く環境を醸成する。ステークホルダーの期待と制約のバランスをとり、育成する。単なるデリバリーではなく、方向性のある変革推進力と継続的改善をケイデンスの中に組み込む。
判断に迷ったときには「The New New Product Development Game」(29)を研究し、現代における新しいものの良さを受け入れつつ、勇敢な人だけが行動力を持つような産業複合体(30-35)の思考は捨てるべきである。
top最後に
Jeff Sutherlandによる1993年のEasel社でのスクラムの適用は、ロスアラモス研究所におけるChristopher Langtonの複雑適応系(Complex Adaptive Systems, CAS)(74-77)理論に関する論文(36, 37)に着想を得たものである。この理論は、システムがカオスの縁でより速く進化することを示している。
スクラムは 2020年スクラムガイド (40)で説明されている。Tobias Mayerの スクラムシンプルガイド (58)は、Ken SchwaberとJeff Sutherlandによる公式スクラムガイドの短縮編集版である。 スクラムヘキシス (52)は2025年の視点から2020年スクラムガイドを詳しく説明するが、2020年スクラムガイドは依然としてスクラムの基本的なリファレンスである。
スクラム は鏡のようなものである。鏡に映る像が期待通りでない場合、その鏡を隠すべきであろうか?
スクラムを適用する前に、スプリント毎に少なくとも1つのインクリメントを作成することを習慣化する。スクラムのすべての部分には目的がある。各部分の「なぜ」を理解することが不可欠である。文脈を考慮すること。短期的にはデリバリーが重要である。長期的には望ましい方向への創発的な変化の成功と持続可能な価値の提供が重要である。スクラム適用の成功は、短期と長期のバランスを適切に取ることにかかっている。
他の組織からアプローチを模倣する際には、その組織の文化を育むことなしにアプローチを模倣することは慎重にすべきである。望ましい方向への創発的な変化こそが変化でる。その変化にはリーダーシップ、ワークフロー、プロセス、人事、財務、調達などのシステムが含まれるが、これらに限定されない。スクラムは目的地ではなく、望ましい方向に向けた継続的改善と進化の終わりなき旅の一部である。
top謝辞
スクラムは、リーン(63)、トヨタ生産方式(59-60)、竹内弘高と野中郁次郎によるハーバード・ビジネス・レビューの記事「The New New Product Development Game」(29)、デュポン社における経験主義(61)から着想を得ている。
スクラムは1990年代初頭に開発された。Ken SchwaberとJeff Sutherlandは1995年のOOPSLAカンファレンスにて初めてスクラムを共同発表した(62)。 スクラムガイド (40)の初版は2009年に公開された。スクラムは進化を続けている。
初期草稿にフィードバックを提供した以下を含むがこれらに限定されない、レビュアーに感謝する。Daryn Basson, Alex Benes, Kurt Bittner, Deb Bhattacharya, Magdalena Firlit, Nichervan Fazel, Peter Fischbach, Michael Forni, Tom Gilb, Martin Hinshelwood, Jesse Houwing, Michael Huynh, Matthew Ijogi, Marc Kaufmann, Christian Neverdal, Stas Pavlov, Ian Sharp, Alisa Stolze, Mark Summers, and Nader Talai
toptop
スクラム 拡張版 1ページ要約
スクラムは、 2020年版スクラムガイド (40)で説明されている。スクラムは複雑(30-35)な作業、特にプロダクトの発見・開発・提供・価値実現に対応するための軽量なフレームワークである。スクラムは経験的プロセス制御(エビデンスに基づく意思決定)およびリーン思考(ムダを減らし価値の流れに集中する)に基づいている(63)。スクラムは意図的に不完全であり、詳細な手順を規定するのではなく、相互作用を導くものである。
なぜスクラムを使うのか?
スクラムは、スクラムチームが創発(71)を識別・表現・測定し、不確実性を受け入れ、変化に対応し、頻繁に価値を提供・検証し、継続的に改善することを可能にする。スクラムは、コラボレーション・説明責任・エビデンスに基づく意思決定を促進し、急速に変化する環境において最良のアウトカムを生み出す。価値を中心に組織された自己管理スクラムチームは、創造的な問題解決や機会の獲得において重要である。自己管理されていないスクラムチームは、複雑性(30-35)に対処する能力を妨げる。自己管理スクラムチームは、個人の自己管理と混同すべきではない。
スクラムの要素
1. スクラムの理論:三本柱に基づく
- 透明性:検査のために作業と価値を可視化する。
- 検査:適応のために進捗とアウトカムを定期的に評価する。
- 適応:洞察とフィードバックに基づいて計画を調整する。
2. スクラムの価値基準:
- 集中、公開、勇気、確約、尊敬 は効果的なチームワークを可能にし、信頼を築く。
3. 役割 / 説明責任:
- スクラムチーム:小さく、自己管理され、機能横断型で、認知的多様性を持ったチームであり、以下で構成される:
- プロダクトオーナー:長期的な価値を最大化し、ステークホルダーを巻き込み、プロダクトバックログを管理する。
- スクラムマスター:スクラム適用を導き、障害物を除去し、継続的改善を促進する。
- プロダクト開発者:機能横断型スキルを通じてスプリントごとにインクリメントをデリバリーする。
- ステークホルダー:組織・プロダクト・サービスの内外に直接的・間接的な利害関係を持ち、インプット・活動・アウトカムに関心を持ち、影響を受け・影響を与える個人・団体・グループ。
- サポーター(ステークホルダーの一種):風土と環境を育み、要請に応じて参加する。
- AI:ツールとして、あるいはプロダクト開発者となる可能性もあるが、まだ完全に信頼すべきではない。
4. スクラムイベント & 活動
- スクラムはスプリント(最長4週間 の決められた期間のイテレーション)で運用され、4つのタイムボックス化されたイベントがある:
- スプリントプランニング:スプリントゴールを定義し、作業計画を立てる。
- デイリースクラム:プロダクト開発者が日々、スプリントゴールまたはプロダクトゴールに向けた進捗を調整する。
- スプリントレビュー:インクリメント、価値、市場を検査し、プロダクトバックログを適応させる。
- スプリントレトロスペクティブ:スクラムチームとして振り返り、改善する。
- リファインメント:正式に(必須でないイベントとして)または非公式に、今後の作業または選択された作業を明確にする。
5. スクラムの作成物 & コミットメント
- プロダクト & アウトカム完成の定義:実現した利益のエビデンスとなるプロダクトおよび価値のあるアウトカム。
- インクリメント & アウトプット完成の定義:潜在的に価値があり、リリース可能なプロダクトのリリース候補アップデート。
- プロダクトバックログ & プロダクトゴール:中期的でより戦略的な目標を達成するため、(一列に)順序付けされた作業リスト。
- スプリントバックログ & スプリントゴール:選択されたプロダクトバックログアイテムと、スプリントの短期的な目標に向けた計画。
top
拡張ログ
追加事項
- AIセクション
- 自己管理スクラムチーム、ケイデンス、プロフェッショナリズムセクション
- 創発セクション:リスクや期待値からの乖離が時間とともに必ずしも減少するとは限らないという考えを受け入れる
- 複雑性(30-35)—スクラムの理由セクション
- リーダーシップとシステム思考セクション
- プロダクト思考とディスカバリーセクション
- 第一原理、人と変化セクション
- 複数スクラムチームプロダクトセクション
- ステークホルダーの役割(顧客、意思決定者、ユーザーを含む)、ステークホルダータイプとしてのサポーター
- リファインメント、プロダクトバックログアイテムセクション
- オプション:プロダクトビジョン、受け入れ基準、アウトカム基準
- アウトカム完成の定義:アウトカムのエビデンスに基づく適応に特に重点を置く
- ステークホルダー、価値、結果からのフィードバック(結果フィードバック)、リリース、アウトカム、リスク、障害物、リーダーを定義
- フロー分析、モンテカルロ確率予測、大規模見積もり、ファジー集合(すべてオプション)
- スクラム拡張版1ページ要約
- ワークフロー、設計、プロセス、システム、作業環境を創発と整合させる必要性
- 「プロダクトオーナーシップには強力なプロダクトマネジメントスキルとドメインスキルが必要である…プロダクトマネジメントスキルを身につける意欲・準備・能力がないプロダクトオーナーはプロダクトオーナーの役割を退くべきである。」
- プロフェッショナルであろうとする意欲・準備・能力がないプロダクト開発者はその役割を退くべきである。
- チェンジエージェントであろうとする意欲・準備・能力がないスクラムマスターはその役割を退くべきである。
- 付録:クネビンフレームワーク勝手に非公式解説、創発的戦略、適応力(80)のある企業、適応力のある経営層・役員
提案事項
- 「曖昧さを受け入れる」(73)、一方での責任の明確化と修正
- スクラムは不変またはシンプルから、スクラムは進化しているへ。一部では「must(しなければならない)」から「should(すべき)」への表現の軟化
- プロダクトオーナーの説明責任から、説明責任を伴うプロダクトオーナーの役割へ。長期的価値の最大化を強調
- 開発者の説明責任から、説明責任を伴うプロダクト開発者の役割へ
- スクラムマスターの説明責任から、説明責任を伴うスクラムマスターの役割へ。スクラムマスターは1人の人間であり、AIではない
- プロダクト開発者は人間またはAI、もしくはAIの支援を受けることが可能だが、少なくとも1人は人間である。認知的多様性と複雑性への対応には、人間のプロダクト開発者が多い方が良い
- スクラムチームは以前の開発者ではなく、スプリントゴールに確約する。プロダクトオーナーが集中していることが重要
- スプリントバックログは、スプリントゴールのみでなく、スプリントゴールまたはプロダクトゴールに向けたもの
- プロダクト定義、プロダクト戦略、ロードマップ、プロダクトモデル、スケーリング、ゴール指向アプローチへの言及
- 学習、結果からのフィードバック(結果フィードバック)、副作用、アウトプットよりもアウトカムの強調
- 価値の流れを保持するために、未完了のプロダクトバックログアイテムはプロダクトバックログに戻す必要がない
- 完成の定義からアウトプット完成の定義への名称変更
- プロダクトライフサイクル全体、フィーチャーライフサイクル全体、価値実現の強調
- スプリントプランニングトピック1-3を、なぜ(Why)、何を(What)、どのように(How)に名称変更。スプリントは1か月以内から4週間以内に変更
- スプリントレトロスペクティブにおいて、心理的安全性の高い環境でインクリメントとアウトカムの追加レビューを行う可能性
- インクリメントは常に完成済であるため、「完成したインクリメント」という表現は冗長であることをより強調
- プロダクトゴールの可変性(合理的範囲内での)を明示
- 価値提供の楽観的推定から、価値実現への意図的な 集中 へ
- 作り込み品質、明確さ、データに基づく意思決定、意図的な相互作用、創発(71)、アウトプットよりもアウトカム、立ち止まりと内省、価値実現、問題や機会の理解、一貫性のあるスクラム適用のための風土・環境の醸成、方向性のある継続的改善を重視する精神
- 変革を役割に結び付けるために、曖昧な組織への言及を減らす
- 文脈を考慮した、スクラムの価値基準のより意図的な遵守
付録
セクション2:MORE executive SUCCESS抜粋
タイトル:MORE executive SUCCESS抜粋
著者:John Coleman
出典:(6)
ライセンス/著作権: CC BY-NC-ND 4.0 , © 2017-2025 Orderly Disruption Limited
注記:本セクションは CC BY-NC-ND 4.0 ライセンスの条項に基づき、オリジナルから改変されていない形式で掲載する。変更は一切加えられていない。
top適応力のある企業
言葉と行動が一致する風土がなければ、適応力(80)のある企業であるのは困難である。80件以上のエンゲージメントモデルが研究された。その中には、複数スクラムチームのプロダクトに役立つスケーリング・デスケーリングのフレームワーク・プロダクトオペレーティングモデルが含まれる。これらのモデルには、適応力のあるプロダクト組織となる助けとして行き過ぎたものから全く不十分までさまざまなものがある。普遍的な真実や文脈を問わない「ゴルディロックスゾーン」は存在しない。
調査対象となったエンゲージメントモデルの中で注目すべき候補は多数存在する。脱予算経営、ヒューマノクラシー、ソシオクラシーを含むがこれに限定されない。文脈に応じてこれらを探求すべきである。相互に、あるいは他のアプローチと組み合わせて用いることを検討してほしい。
top脱予算経営
脱予算経営(15-28,90-98,103)は、従来の硬直的な年次予算編成を否定し、分散型かつ適応的な組織管理・業績管理アプローチを取る経営哲学である。リーダーシップに関する6つの原則とマネジメントプロセスに関する6つの原則、計12の指針となる原則に基づいており、分散型の意思決定・透明性・チームの自律性・顧客価値との強い整合性を促進する。
固定的な目標や詳細な年次計画の代わりに、脱予算経営は動的な目標設定・継続的計画・リアルタイムのニーズに基づく資源配分を奨励する。これにより、急速に変化するビジネス環境における適応性・反応性を高める。このアプローチは、チームのエンパワーメント・イノベーションの促進・不確実性(72)と複雑性(30-35)への組織対応力…を高めることを目的としている。脱予算経営という名称は、財務にのみ焦点を当てているという誤解を生む不適切な名称と言える一方で、予算の枠を超えるという意味では適切な名称でもある。
topヒューマノクラシー
Gary Hamelにより提唱されたヒューマノクラシー(2)は、硬直的な階層構造や中央集権的な管理を廃し、個々人の貢献と創造性を最大限に引き出すシステムに置き換えるマネジメントモデルである。ヒューマノクラシーにおいて、組織は人々に奉仕し、力を与えるために存在するのであり、従業員を単なる企業目標達成のためのリソースとして扱うのではない。
ヒューマノクラシーは、分散的なオーナーシップ・実力主義・公開性・実験・コミュニティといった原則に基づいており、自律性とイノベーションを育む。権限はコンピテンシーに基づいて与えられ、意思決定は現場に最も近い人々に分散される。ヒューマノクラシーは、コンプライアンスや統制よりも、信頼・エンゲージメント・人間の可能性の解放を優先し、レジリエンスと革新性に富んだ職場環境の構築を目指す。
ハイアール社の人単合一(RenDanHeYi)モデルは分散化とエンパワーメントの価値を共有するが、ヒューマノクラシーは官僚主義を人間中心の原則に置き換え、集合的能力と価値を解き放つことを目的とするより広範な哲学である。
topソシオクラシー
ソシオクラシー(1,11-14)は、自己管理型(49)サークルに人々を組織し、多数決ではなく同意によって意思決定を行うガバナンスシステムである。1970年代にオランダのGerard Endenburg(81)によって開発され、意思決定の影響を受けるすべての人に発言権が与えられ、合理的な異議が提起されない限り提案が進む仕組みである。「今は十分、試すには十分安全」という原則に基づき、ソシオクラシーは権限の分散、透明性、説明責任、継続的改善、そしてコラボレーションとシェアード・オーナーシップを促進する。
最も確立された形式はSociocratic Circle-Organization Method(SCM)であり、これは元祖とも言える形式化された手法である。SCMでは、半自律的なサークル、ダブルリンク(2人が直接関連する2つのサークルに所属して接続する)、同意に基づく意思決定、そして役割の公開選挙が採用する。この構造は、組織の効率性とメンバーの対等性を維持し、オランダの企業、協同組合、学校において実績がある。
最近ではより柔軟性を高めているソシオクラシー 3.0 (S3)のような新しいバリエーションもあるが、SCMは依然として最も歴史的に検証され、広く文書化されたソシオクラシーの形式である。
top適応力のある経営層・役員
MORE Executive SUCCESSは、経営層・役員に対して以下のような多くの機会を特定している。
- ステークホルダー(顧客を含む)のニーズと制約、作業、その作業の進め方、無駄、アンチパターン、問題領域、機会、価値創造のエビデンス、振る舞い、習慣に関する知識を取得する
- 人間的なパフォーマンスを発揮する風土を醸成し、それを保護し改善する後継者育成計画を可能にする
- 価値ネットワーク全体にわたる反応性とフロー(68,69)を開発する
- 明確な方向性をもって創発(71)と適応性(80)を育む
- 顧客と同僚を含む人々を巻き込む
- 効果的かつタイムリーな後継者育成計画を促進する
組織の構造上、下層・中層・側面からの適応性(80)向上に関するガイダンスは豊富に存在する一方で、経営層には、タイムリーかつ人間的な効果性、顧客との相互作用、そして「作業の進め方」に関するガイダンスが十分に提供されていない。雇われたチェンジエージェントが単独でこのギャップを埋められるという誤解があるが、これは非現実的である。変革は組織自身の責任である。
タイムリーで人間的な効果性は、企業構造全体に浸透させる必要があり、その多くの利益を享受するべきである。「変革の採用に成功した」組織であっても、危険に直面する。人材が離職し、他の視点が定着し、企業の流行が適応性の成果を崩すこともある。負の混沌が生じる可能性もある。
多くのプレイヤーやエンゲージメントモデルが、経営層の適応性を支援することを謳っているのは素晴らしいことである。なぜなら、異なる組織の文脈には異なるアプローチが必要だからである。しかし、豊富なリソースが存在しているにもかかわらず、経営層の適応性に関する全体的な状況は、この25年以上ほとんど変化していない。
戦術、戦略、手法、フレームワークを活用するかしないかに関わらず、まずはトップ層として両利き性、人間的な効果性、適応性、タイムリーさを支える精神を受け入れるべきである。そうでなければ、経営層・役員は、組織内の変革ごっこや、タイムリーさ、人間性、効果性のある作業の寄せ集めを監督し続けることになる。
top経営層の行動に光をあてる
経営層・役員の姿勢や行動は、 言葉や指示以上に、 他の人々の新しい行動に影響を与える。 しかしながら依然として、 組織内で問いかけられる質問を見直すことが最良であろう。 両利き性、人間中心の効果性、適応性、適時性を 改善するために。
両利き性、人間中心の効果性、適応性、適時性を高めるために、 一貫性を欠く経営層の行動は、最終的に解消されなければならない。 より有用な行動とは、 失敗を受け入れ、 判断する前に情報を求め、 学習のために新しいことを試す機会を与え、 知らないことを良しとし、 人々が集中することを支援する、 などである。 経営層の行動に対峙する際には、 おぼえておくべき選択肢がいくつかある。
top変革への免疫(Immunity To Change®)
Lisa Laskow LaheyとRobert Kegan(The Developmental Edgeの代表)は、 変革への免疫(Immunity To Change®)(3,4)として知られる 変革アプローチを生み出した。 人々は何をすべきかをわかっていながら、 内部に対立するコミットメントを持っているために、 それを行わないことが、しばしばある。 喩えていうなら、 人々は「片足をアクセルに、片足をブレーキに」置いている。
変革への免疫®は、 「隠れたコミットメント」と「強力な固定観念」を定義するための フレームワークである。 これらが人々の変化と目標実現を妨げているのだ。 変革への免疫®の理論とマップは、 数え切れないほどの専門家と組織を支援してきた。 専門的・組織的成長を妨げるコミットメントを 表出化して、それを乗り越えていくために。
top意図ベースリーダーシップ(_Intent-Based Leadership®)
_意図ベースリーダーシップ(Intent-Based Leadership®)(IBL)(7,8,9)は、 高いパフォーマンスを目指すチームが使用する言語であり、 プログラム化された産業時代の言語を置き換えるものである。 IBLは、 リーダーとチームによる意図、という概念を重視している。 これは、 L. David Marquetによる 「Turn The Ship Around」と「Leadership is Language」 という書籍に基づいている。
核となる信念の一つは、 リーダーシップが選ばれた少数のトップのためのものではない、 ということである。 きわめて効果的な組織では、 すべてのレベルにリーダーが存在する。 L. David Marquetは、 原子力潜水艦USSサンタフェで開発したリーダーシップを、 意図ベースリーダーシップと呼ばれるシステムに発展させた。 これは、組織があらゆるレベルで 思考とリーダーシップを促進するために 実装できるものである。
意図ベースリーダーシップは、 人々が最高の状態でいられる組織を リーダーが構築することを支援する。 なぜ人々が最高の状態でいられるかというと、 自律性を感じ、 内発的動機を活用し、 耳を傾けられていると実感し、 卓越性への意欲を持てるからである。 高いレベルのオーナーシップと主体性を感じるため、 心と頭の両方をあてがってくれるのだ。 自分の意思決定と仕事の成果を目にすることで、 心理的な報酬を得る。 行動を重視するようになり、 エラーの発生と拡散が減少する。 そのため、チームはより機敏で回復力を持つことになる。
意図を表明する実践により、 チームは努力の統一性を保ちながら 分散的な意思決定を行うことができる。 意図ベースリーダーシップ・インターナショナル(IBLIウェブサイト)は、 リーダー向けに コンサルティング、コーチング、オンラインコース、書籍を 提供している。
セクション3:クネビンフレームワーク 勝手に非公式解説
タイトル:クネビンフレームワーク 勝手に非公式解説
出典:[元の クネビンwiki へのリンク]、[この適応版へのリンク]
ライセンス:クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 4.0 国際( CC BY-SA 4.0 )。 © 2017-2025 Cynefin.io.
免責事項:いかなる保証も提供されない。ご自身の責任で使用されたい。
このセクションは、クリエイティブ・コモンズの表示-継承4.0国際ライセンスの下で提供されている。
このクネビンフレームワーク 勝手に非公式解説を使用することで、 CC BY-SA 4.0 ライセンスの条項に同意したものとみなされる。
topクネビン(Cynefin®)
クネビン(Cynefin®)(30-35)は、 リーダーシップの意思決定のための羅針盤を提供する。 これは2007年の Dave SnowdenとMary Booneによる HBR論文「意思決定のためのリーダーのフレームワーク」と、 「EUフィールドガイド」としても知られる 「危機における複雑性(と混沌)の管理 ~ クネビンフレームワークに着想を得た 意思決定者のためのフィールドガイド」 によって普及した。 その前提は、 各領域の力学に応じて 取るべき行動は異なる、 ということである。 これはよく、単純化されすぎてしまう。 ある問題は、 すべてのドメインに同時に存在しながら、 別の特性を持つ可能性がある。
位相シフトとは、 しばしば発生する、ドメイン間の急激な移行のことである。 特に秩序系から混沌系への移行において、 システムの制約 (ルール、習慣、境界、フィードバック) が不整合を起こしたり崩壊したりした時に 引き起こされる。 これは、システム行動の根本的変化を示すものであり、 これまでの統制や理解の方法が もはや機能しなくなる状況である。
プロダクト開発のすべての側面が複雑であるわけではない。スクラムチームは、特定の状況において、以下の間の様々な位相シフトを考慮する必要があるかもしれない:
- 秩序系:主要概念:安定性、ルーチン、ベスト/グッドプラクティス、専門知識
- 専門知識で十分であり、 原因と結果は予測可能または認識可能
- 対応選択肢(これらに限定されない): ベスト/グッドプラクティスの適用、 ルールの遵守、 専門家分析の活用、 個別調査の実施
- 比喩: 硬い氷からかろうじて凍った氷まで、 快適な天気、 チェス/数独
- 自然の例: 現代の気候制御された温室 ——予測可能で統制された計画的成長
- プロダクトの例: 専門家への相談とログ分析により 困難な技術的問題を解決する
- 複雑系(30-35):専門知識は価値があるが不十分で、
なぜ物事が起こったかは事後にのみ理解できる。
主要概念:創発、失敗しても安全な実験
- 対応(これらに限定されない):
- 学習と適応を促す
- いくつかの小さな並行した失敗しても安全な実験を試す
- 認知的多様性と協働を通じて新鮮な思考を育む
- 役立つ可能性がある場合は他の場所からソリューションを借用する
- 何が機能するかを確認するために賢明な推測や情報に基づく直感をテストする
- これらはすべて、良い結果が自然に発展することを促す 有益なガイドラインに従いながら行う
- 比喩:流れる水、雨天、ポーカー
- 自然の例: 茨の茂み――すべてが絡み合い、つながりは予測不可能
- プロダクトの例: ユーザーフィードバックに基づく異なるフィーチャーやソリューションの実験、 例:新しいプロダクトアイデアのA/Bテスト
- 対応(これらに限定されない):
- 混沌系:
- 負の場合:主要概念:破壊的危機、破綻、緊急行動
- 対応(これらに限定されない): 秩序回復のための即座の行動、 安全の優先、 事態を悪化させることなく迅速に何かを行う
- 比喩: 砕ける氷や制御されない爆発、 毒ガス、竜巻、地震、山火事、 スタジアムでの暴動
- 自然の例: 自然災害(例:津波)——突然で、破壊的で、予測不可能
- プロダクトの例: システムを隔離し緊急修正を展開することで 重大なセキュリティ侵害に対応する
- 正の場合:主要概念:生成的破壊、急速なイノベーション
- 対応選択肢(これらに限定されない): 意図的に破壊し、 創造性を促し、 エネルギーを活用する、 例:ハッカソン、インキュベーター、「イノベーション・フライデー」
- 比喩: 制御された爆発(蒸気機関)、 花火、 祭りのかがり火
- 自然の例: 新しい植物のために古い成長を取り除く森林火災——生態系の更新
- プロダクトの例: 新しい機会を捉えるために市場の混乱中にプロダクトを急速にピボットする (例:競合他社の動きに対応してフィーチャーを立ち上げる)
- 負の場合:主要概念:破壊的危機、破綻、緊急行動
リミナリティ(境界状況)とは「中間」段階、閾値のようなものである。 それほど突然でない位相シフトは、しばしばそのリミナル(境界)で起こる:
- 複雑系と秩序系の間のリミナル。これはスクラムが最も得意とする領域である:
- 秩序系-複雑系:
- 専門家分析から適応的探索へ
- 対応(これらに限定されない): いくつかのルールを緩和し、 実験を導入し、 創発に備える
- 比喩: 溶ける氷、 曇り天気、 チェスからポーカーへの切り替え
- 自然の例: 季節の解凍——硬い氷が流れる小川と新しい成長に道を譲る
- プロダクトの例: ルーチンプロセスが機能しなくなったとき、 チームに異なるアプローチを試すよう促す
- 専門家分析から適応的探索へ
- 複雑系-秩序系:
- 対応(これらに限定されない): 創造的発見を専門家ルーチンに変換し、 イノベーションを安定化し、 成功パターンを観察・体系化し、 標準化に移行する
- 比喩: みぞれ(氷と水の間)、 雨後の霧の晴れ間、 ポーカーからチェスへの切り替え
- 自然の例: 水路を形成する川のデルタ——予測不可能から安定した流れへ
- プロダクトの例: 成功した実験的フィーチャーを 文書化された再現可能なプロセスに変換する
- 秩序系-複雑系:
- 複雑系と混沌系の間のリミナル:
- 複雑系-混沌系(正):
- イノベーションや発明のための時間と空間を作るために 制約を緩和する必要がある状況。 主要概念:創造性、リスク、イノベーションの端
- 対応(これらに限定されない): 制約を緩め、 実験を促し、 ブレークスルーのアイデアを求める
- 比喩: 沸騰する水(蒸気の端で)、 発生する雷雨、 即興劇場、 ジャズジャムセッション
- 自然の例: 新しい土地を創造する火山——混沌の端での創造的変革
- プロダクトの例: 破壊的アイデアを生成するための高リスクイノベーションハッカソンの実行
- 複雑系-混沌系(負):
- 主要概念:危機への破壊的移行
- 対応(これらに限定されない): 制約を急速に再課し、 状況を安定化し、 さらなる破綻を防ぐ
- 比喩: 爆発する圧力鍋、 突然の竜巻や鉄砲水、 怒りで投げられたゲームの駒、 ひっくり返されたゲーム盤
- 自然の例: 突然の地すべり——構造の喪失、破壊的移行
- プロダクトの例: 失敗したプロダクト立ち上げの混乱と、統制を取り戻す緊急の必要性
- 混沌系-複雑系:混沌からの脱出——再編成
- 対応選択肢(これらに限定されない): 創発する秩序を感知し、 探索を開始し、 協働を促し、 パターン認識を行う
- 比喩: 水に凝縮する蒸気、 ハリケーンの後の静寂、 嵐の後のスポーツゲームの再開
- 自然の例: 火災後に移住する先駆種——攪乱後の新しい成長
- プロダクトの例: 危機の後、新しい働き方や新しいプロダクト方向を実験するための チームの再編成
- 複雑系-混沌系(正):
- アポリア(逆説的リミナル):
新しい洞察のために逆説と共に向き合う。
おそらく目前の状況が
見えていたものと異なることを悟った後に。
- 対応選択肢:曖昧さを保持し、振り返りを促し、新しい理解の創発を可能にする
- 比喩:三重点(固体、液体、気体が共存)、嵐の目の中に立つ、謎かけを解く
- 自然の例:川、海、陸が出会う河口——すべての状態と可能性が共存する
- プロダクトの例:チームが対立する戦略やビジョンの間で行き詰まり、 振り返りと再整合のために短時間立ち止まるべき状況。
- 困難度のため稀に考慮される位相シフト:混沌-秩序リミナル
- 対応選択肢:強い制約を課し、ルールと構造を再確立する
- 比喩:急速に再凍結する氷、嵐の後の寒波、混沌の後に審判が効果的に厳格さを取り戻す
- 自然の例:洪水の後にダムが成功裏に建設される——荒々しい川が突然封じ込められ統制される
- プロダクトの例:
- 大規模な本番障害またはプロダクト危機の後、機能横断的危機チームが 明確で最小限のルールと一時的プロトコルで状況を急速に安定化させる
- 直近の危険が過ぎると、これらは持続可能でバランスの取れたプロセスへと 反復的に洗練・正式化され、過剰修正や過度な官僚主義を回避する
- 特に突然で負の位相シフトが一つある、それは秩序-混沌リミナルである:
- 対応選択肢:脆弱性と過信を認識し、境界と安全を回復するために迅速に行動する
- 比喩:破片に割れる氷、突然で激しい雹嵐、ゲームのルールが突然破棄される
- 自然の例:春に崩壊する凍った湖——安定した表面が突然砕け散る
- プロダクトの例:予期しない事象(例:大規模な障害)のために 安定したプロダクトプロセスが突然破綻する
セクション4:創発的戦略
著者:Roger L. Martin、Tom Gilb
出典:(41-48)
著作権:無断転載禁止。適応版
top創発的戦略
戦略は規模によって制限されるものではなく、存在するのであれば、企業全体、事業部門、あるいはプロダクトレベルにおいて明確に表現されていなければならない。さらに、これらのレベル間で一貫性を保ち統合されているべきである。重要なのは、戦略が目的(定量化されたステークホルダーにとって価値のあるアウトカム)と手段(施策や活動)を区別していることである。
Roger L. Martinの著作(41)とTom Gilbの著作(43-48)を参考にし、適応すると、戦略とは統合された明示的な選択を行うことである。つまり、単なる広範なミッションやビジョンではなく、明確に定義され計測可能な達成すべき成功目標から、何を追求し何を追求しないかを決定することである。効果的な戦略は以下の問いに答えるものである:
- どの領域で勝負するのか?
- 倫理的(57)かつ持続可能な形で、複数の期待と制約のバランスを取りながら、いかにして勝つのか?
- どのような能力とシステムが備わっていなければならないのか?
- この戦略が成功するために、他にどのような前提条件が成立していなければならないのか?
専門知識だけで十分である(あるいは、ほぼ十分である)状況においても、 戦略を反復的・実行可能・価値志向にするためには以下が不可欠である:
- ステークホルダー価値、複数の影響や副作用、リスク、トレードオフを反復的に定量化し管理する:
- すべての重要なステークホルダー(顧客を含むがこれに限定されない)を特定し、 それぞれの価値目標を測定可能な形で定義する (例:「新規ユーザーのオンボーディング時間を5〜10日から2〜4日に短縮する」)。
- トレードオフと制約を明示的に定量化し、 新しい情報が得られるたびに見直す。
- 統合的思考を用いて緊張関係を創造的に解決する。
- 共創し、協働で優先順位づけする:
- トップダウン・ボトムアップの洞察・横断的なコラボレーションを融合して戦略を策定する。
- 構造化されたワークショップとフィードバックループを活用して整合性と適応性を促進し、 未着手の作業の優先順位を継続的に見直す。
- 価値を漸進的に提供し、結果を計測する:
- 戦略的志向を、小さく優先順位づけされた計測可能なインクリメントに反復的に分解する。
- 短いサイクル(例:スプリントや週単位)で価値を提供し、 実際のアウトカムと副作用を当初定量化した目標と照らし合わせて計測する。
- 定期的なレビューを活用し、現実のフィードバックに基づいて調整する。
- 創発を可能にする:
- 明確に定量化された目標、計測可能なトレンド、定期的なリスク・恩恵再評価という枠組みの中で、 新たなデータやステークホルダー(ユーザーを含むがこれに限定されない)のフィードバックに応じて 戦略が進化することを許容する。
- 現実の展開に応じて、迅速かつ透明に軌道修正を行う。
- 戦略と戦略展開をアウトカム指向で焦点の定まったものにする(何に取り組み、何に取り組まないかを決定)。以下を区別する:
- 戦略:意図、根拠、ゴール、避けるべきゴール(何を、なぜ)
- 戦略展開:戦略の運用化。戦略のための統合された選択肢の反復的な配列・分解。 通常は 何を、なぜ の小さなアウトカム指向スライス
- アウトカム指向で焦点の定まったプロダクトバックログアイテム(誰 のために による、より小さなスライス)
- 活動や施策のリスト(「何をやるか」または どのように)
- プロジェクトの寄せ集めを、一貫性ある価値駆動戦略と間違えないこと。
専門知識には価値があるがそれだけでは不十分であり、因果関係が後になって初めて一貫していることがわかるような状況では、不確実性を受け入れる必要がある。スクラムチームとステークホルダーは次のように取り組む必要がある:
- 進むべき方向性において、構造が定まっていない創発的なアウトカム指向の作業での混乱を受け入れる。
- 詳細かつ長期的な計画は効果的でないことを考慮する。その代わりに、組織はシステム内の相互作用から有用なパターンやイノベーションが創発するような条件を整えることに注力すべきである。
- 一度に一つのアイデアを試し、以前にうまくいったことに固執するのではなく、スクラムチームは、同時にいくつかの失敗しても安全な小さな実験を並行して行い、その結果を観察し、そこから学ぶべきである。
- 創造的な探索、イノベーション、現在からの進化を促す風土を促進する。人々が新しいアイデア、学び、情報に基づく直感を結びつけ、お互いから学び合えるプロセスと環境を創出する。均一性や硬直化したKPIを押し付けるべきではない。
- 対応策は以下に限定されない:
- 変化を試みる前に、既知のことをマッピングし、システムの進化の可能性を理解する
- 自己組織化を促進する
- 失敗しても安全な実験(プローブ)を実行する —— プローブは小さく、並行して、失敗しても許され、有益な情報となるように設計されるべき
- 新鮮な思考を求める
- 目前の現在の状況について、異なる問題に対する解決策を試す
- 根拠に基づく直感を試す
- 何が創発するのかを観察し、うまくいくパターンは強化し、機能しないものは抑制または停止する
- イノベーションは重要だが、繰り返し現れる問題に対しては、実証された解決策を再利用する
- 継続的にセンスメイキングを行う
- ナラティブキャプチャを実行する
- 比喩:リーダーの役割は、健全な植物(創発的な解決策)の成長を促進するために土壌、境界、条件(「基質」)を積極的に準備し管理することである。これには比喩的な除草、剪定、環境整備も含まれ、単に受動的に結果を待つのではない。
一般的に、外発的動機づけによる報酬は「コブラ効果」(104)を招く恐れがあり、脱予算経営の理念と整合性が取れない限りは避けるべきである。同様に、個人やチームのパフォーマンスは結果から切り離して考えるべきである。なぜなら、結果は達成されたとしても、それがどのような方法で達成されたのか、どのような副作用があったのか、チームの士気にどのような影響を与えたのかといった要素が関係しているからだ。
それでもなお、以下の点に留意すべきである:
- ステークホルダーの期待、ステークホルダーの制約、または目標を定量化することが 有用か有害か、また内発的動機を低下させるかについて、 査読付き論文(105-108)と基礎的な非査読論文(109)の間で意見の相違がある。
- 文脈を考慮すること。また、定量化が自律性や意味付けを支援するものか、 統制的制約を課すものかを考慮すること。
- 現時点で、この文書はアイデアの明確化と共有理解を重視する立場を取る。 すなわち、ステークホルダーの期待、ステークホルダーの制約、進むべき方向性を定量化し、 高品質で正確なストーリーテリングナラティブ (このようなストーリーを増やし、あのようなストーリーを減らす)で補完することを推奨する。
創発的戦略は、スプリントゴールからプロダクトビジョン、さらにはその先に至るまでの、創発的かつアウトカム指向のロードマップによって支えられる。創発的戦略の展開(120-123)は創発的戦略そのものと混同するべきではない。ベクトル変化モデル(30-35,54)、プロダクトオペレーティングモデル(113-119)、スケーリングおよびデスケーリングモデル(134-147)、創発的ゴール指向モデル(120-133)は、創発的戦略の展開において非常に有益となりうる。あらかじめ固定した目標よりも進むべき方向性を重視するような、ベクトル変化と一貫性のあるモデルを採用することが望ましい。
創発的戦略の展開は、スクラムチームおよびステークホルダーが現実世界の変化に対応する中で、計画と行動が自然に展開していくのを可能にすることを意味する。あらかじめ固定された道筋に従うのではなく、周囲で起きていることに注意を払いながら、状況に応じて調整を行う。そうして時間をかけて、取られたステップがたとえ当初意図したものと異なっていたとしても、実際の戦略となるパターンを形成するのである。
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スクラムガイド拡張パックにおける収録資料の帰属情報
この収録資料集は Ralph Jocham、John Coleman、Jeff Sutherland によって執筆および編集されたものである。各セクションの帰属は上部に個別に明記され、元のライセンスが保持される。収録資料集は情報提供を目的とするものであり、各セクションのライセンス条項を尊重されたい。
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_Morlidge, S. & Player, S., 2010\. Future Ready: How to Master Business Forecasting. Chichester: John Wiley & Sons._
- The Little Book of Beyond Budgeting
_Morlidge, S., 2024\. The Little Book of Beyond Budgeting: A New Management Model for Organisations (Second Edition) \[Beyond Books Press\]_
- The Little (Illustrated) Book of Operational Forecasting
_Morlidge, S., 2019\. The Little (Illustrated) Book of Operational Forecasting. \[Troubador\]._
- Present Sense
_Morlidge, S., 2019\. Present Sense. \[Troubador\]._
- Zen and the Art of Organising Work
_Morlidge, S., 2021\. Zen and the Art of Organising Work. \[Troubador\]._
- Cost Matters
_Morlidge, S., 2023\. Cost Matters. \[Beyond Books Press\]._
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- Bogsnes, B., 2016. Implementing Beyond Budgeting: Unlocking the Performance Potential. 2nd ed. Chichester: John Wiley & Sons.
- Boyd, J.R. (1995–1996) The Essence of Winning and Losing. 未出版のブリーフィング・スライド. 注記:BoydのOODAは主に軍事ブリーフィングと未出版の原稿を通じて広まった。彼の最終的な概念化は「The Essence of Winning and Losing」に現れ、複雑な環境における非線形の意思決定と適応を強調している。
- Turner, J.R., Thurlow, N. and Rivera, B. (2019) The Flow System Guide. Available at: https://flowguides.org/Flow_Guide.pdf (2025年5月24日アクセス). 要約:このガイドはBoydのOODAを複雑性理論とアジャイル実践と統合し、組織のフローのための動的で非線形な意思決定プロセスとして枠組み化している。
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- Becker, S et al (共著) The Viable Map Workbook 2023 [Beyond Books Press]
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- Sandel, M.J. (2012) What money can’t buy: The moral limits of markets (日本語訳: それをお金で買いますか). London: Allen Lane.
- Kohn, A. (1993) ‘インセンティブ制度が機能しない理由’, Harvard Business Review, 71(5), pp. 54–63.
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- Lewis, R. (2023) An operating model for business agility: Agile for managers of the digital age. 自費出版.
- less.works (n.d.) 技術的優秀性. Available at: https://less.works/less/technical-excellence (2025年6月7日アクセス)
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- Cagan, M. (n.d.) ‘The Product Operating Model: An Introduction’ (プロダクトオペレーティングモデル:入門), Silicon Valley Product Group. Available at: https://www.svpg.com/the-product-operating-model-an-introduction/ (2025年6月8日アクセス)
- Scrum.org (2025) ‘The Agile Product Operating Model’ (アジャイルプロダクトオペレーティングモデル), Scrum.org, 5月1日. Available at: https://www.scrum.org/resources/agile-product-operating-model (2025年6月8日アクセス).
- Scrum.org (2025) ‘Agile Product Operating Model State of Play - Part 1 - Fundamentals’ (アジャイルプロダクトオペレーティングモデルの現状 - パート1 - 基礎), Scrum.org, 5月12日. Available at: https://www.scrum.org/resources/blog/agile-product-operating-model-state-play-part-1-fundamentals (2025年6月8日アクセス).
- Scrum.org (2024) ‘Project to Product and the Agile Product Operating Model’ (プロジェクトからプロダクトへ、そしてアジャイルプロダクトオペレーティングモデル), Scrum.org, 11月7日. Available at: https://www.scrum.org/resources/blog/project-product-and-agile-product-operating-model (2025年6月8日アクセス).
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- Scotland, K. (2017) Strategy deployment and playing to win (戦略展開と勝利への挑戦), AvailAgility. At: https://availagility.co.uk/2017/07/14/strategy-deployment-and-playing-to-win/ (2023年4月3日アクセス).
- Scotland, K. (2017) A strategy deployment cadence (戦略展開のケイデンス), AvailAgility. At: https://availagility.co.uk/2017/09/06/a-strategy-deployment-cadence/ (2023年4月3日アクセス).
- Scotland, K. (2022) The ultimate X-matrix for your agile transformation is here (あなたのアジャイル変革のための究極のX-matrixがここに), AvailAgility. At: https://availagility.co.uk/2022/11/03/the-ultimate-x-matrix-for-youragile-transformation-is-here/ (2023年4月5日アクセス).
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- Ramos, C. and Pavlichenko, I. (2023) Creating agile organizations(アジャイル組織の創造), Creating Agile Organizations. At: https://creatingagileorganizations.com/ (2023年4月15日アクセス).
- Larman, C. & Vodde, B. (2025) LeSS(大規模スクラム)フレームワーク. Available at: https://less.works/less/framework (2025年6月8日アクセス)
- Flight Levels GmbH (2025) Flight Levels Framework (フライトレベルズ・フレームワーク). Available at: https://www.flightlevels.io/what-is-flight-levels/ (2025年6月8日アクセス).
- Krivitsky, A. and Flemm, R. (2022) Org topologies (組織トポロジー), Org Topologies. At: https://www.orgtopologies.com/ (2023年4月4日アクセス).
- Singh, P. (2023) Scaling Simplified: A Practitioner’s Guide to Scaling Flow. Florida: 自費出版. Available at: https://leanpub.com/scalingsimplified (2025年6月8日アクセス)
- Davies, Dan. (2025) The Unaccountability Machine: Why Big Systems Make Terrible Decisions—and How the World Lost Its Mind. London: Profile Books Ltd. (ペーパーバック版).
- Stripe (2025) ‘Sir Jony Ive and Patrick Collison Fireside Chat (サー・ジョニー・アイブとパトリック・コリソンの炉辺談話) | Stripe Sessions 2025’, YouTube動画, 5月8日. Available at: https://youtu.be/wLb9g_8r-mE?si=1rEJxU0sxixvblQ3&t=1390 (2025年6月8日アクセス)
スクラムガイド拡張パック用語集
役割・チーム
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Scrum Team | スクラムチーム | スクラムマスター、プロダクトオーナー、開発者で構成される |
Product Owner | プロダクトオーナー | プロダクトの価値最大化に責任を持つ |
Scrum Master | スクラムマスター | スクラムの確立に責任を持つ |
Product Developers / Developers | プロダクト開発者 / 開発者 | インクリメントの作成に責任を持つ |
Stakeholders | ステークホルダー | プロダクトに関心を持つ関係者 |
Supporters | サポーター | スクラムチームを支援する人々 |
Self-managing Scrum Team | 自己管理スクラムチーム | 自律的に意思決定を行うスクラムチーム |
Customer | 顧客 | プロダクトを購入・選択することで価値を受け取るステークホルダー |
User | ユーザー | プロダクトと直接相互作用するステークホルダー |
Decision-maker | 意思決定者 | プロダクトの採用・購入を承認・認可する権限を持つステークホルダー |
Financial Sponsors | 資金提供者 | プロダクト開発・改善のための資金・リソースを提供する |
Subject Matter Experts | 特定分野のエキスパート | プロダクト作成に不可欠な深い知識・スキルを提供する |
Legislators | 立法者 | プロダクト運用のためのルール・政策・境界を確立する |
Accountability | 説明責任 | |
Responsibility | 責任 | |
作成物(Artifacts)
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Product | プロダクト | 価値を提供する成果物 |
Product Backlog | プロダクトバックログ | プロダクト改善に必要な項目の一覧 |
Product Backlog Item | プロダクトバックログアイテム | プロダクトバックログの個別項目 |
Sprint Backlog | スプリントバックログ | スプリントの作業計画 |
Increment | インクリメント | 利用可能な成果物 |
コミットメント(Commitments)
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Product Goal | プロダクトゴール | プロダクトの将来の状態 |
Sprint Goal | スプリントゴール | スプリントの目的 |
Definition of Output Done | アウトプット完成の定義 | インクリメントの品質基準 |
Definition of Outcome Done | アウトカム完成の定義 | 価値実現の証拠基準 |
Definition of Done | 完成の定義 | プロダクトの品質基準(公式スクラムガイド) |
Acceptance Criteria | 受け入れ基準 | 個別項目の完了条件 |
Outcome Criteria | アウトカム基準 | 価値実現の意図 |
イベント(Events)
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Sprint | スプリント | 作業の反復期間 |
Sprint Planning | スプリントプランニング | スプリントの計画立案 |
Daily Scrum | デイリースクラム | 日次の進捗確認 |
Sprint Review | スプリントレビュー | 成果の検査と適応 |
Sprint Retrospective | スプリントレトロスペクティブ | 改善の計画 |
Refinement | リファインメント | バックログ項目の詳細化 |
価値基準(Values)
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Commitment | 確約 | ゴール達成への献身 |
Focus | 集中 | 重要な作業への注力 |
Openness | 公開 | 透明性のある情報共有 |
Respect | 尊敬 | 互いを専門家として認める |
Courage | 勇気 | 正しいことを行う勇気 |
三本柱
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Transparency | 透明性 | 作業と成果の可視化 |
Inspection | 検査 | 進捗と成果の確認 |
Adaptation | 適応 | 学習に基づく調整 |
理論・概念
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Empiricism | 経験主義 | 経験と観察に基づく知識獲得 |
Empirical Process Control | 経験的プロセス制御 | 証拠に基づく意思決定プロセス |
Lean Thinking | リーン思考 | 無駄を省き本質に集中する考え方 |
Emergence | 創発 | 相互作用から生まれる新しいパターン |
Self-Management | 自己管理 | チームによる自律的な意思決定 |
Complex Work | 複雑な作業 | 予測困難で専門知識が必要な作業 |
Complexity | 複雑性 | システムの予測困難性 |
Complex Adaptive Systems | 複雑適応系 | 複雑適応系 |
First Principles Thinking | 第一原理思考 | 基本的真実からの問題解決 |
OODA | OODA | 観察・方向付け・決定・行動の意思決定ループ |
プロダクト関連
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Product Vision | プロダクトビジョン | 長期的な望ましい成果 |
Product Strategy | プロダクト戦略 | ビジョン達成の方針 |
Product Thinking | プロダクト思考 | プロダクト中心の考え方 |
Stakeholder Value | ステークホルダー価値 | ステークホルダーが重要と考える知覚されたニーズ |
Value | 価値 | ステークホルダーの期待充足 |
Value Realization | 価値実現 | 実際の価値の達成 |
Value Validation | 価値検証 | 価値実現の確認 |
Crossing the Chasm | キャズムの克服 | ニッチ成功から広範囲採用への移行 |
Satisfaction Gap | 満足度ギャップ | 現在の体験と望ましい体験の差 |
Effectiveness | 効果性 | 適切なことを適切に行う能力 |
responsiveness | 反応性 | 変化や要求に迅速に対応する能力 |
anti-goal | 避けるべきゴール | 達成してはならない望ましくない結果 |
risk exposure | リスクエクスポージャー | リスクの影響度、リスクにさらされている程度 |
Vertical Slice | 垂直スライス | 独立して価値を提供できる、システム全層にわたる機能単位 |
プロセス・活動
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Discovery | 発見 | 問題や機会の探索 |
Delivery | 提供 | ソリューションの実装 |
Product Delivery | プロダクトデリバリー | プロダクトのデリバリー |
Release | リリース | ステークホルダーへの提供 |
Feedback | フィードバック | 結果からの学習 |
Result Feedback | 結果フィードバック | 成果から得られる情報 |
High-bandwidth Conversations | 帯域幅の太い会話 | 最も豊富で速く明確な情報交換を可能にする会話 |
Cross-pollination | 他家受粉 | 異なる組織・チーム・分野間での知識・アイデア・実践の交換と移転 |
品質・技術
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Technical Excellence | 技術的卓越性 | 高品質な技術実践 |
Technical Debt | 技術的負債 | 短期的な選択による長期的なコスト |
UX/CX Debt | UX/CX負債 | ユーザー体験の改善不足 |
Professionalism | プロフェッショナリズム | 職業的責任と優秀性の追求 |
組織・フレームワーク
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Beyond Budgeting | 脱予算経営 | 従来予算を超越した管理手法 |
Humanocracy | ヒューマノクラシー | 人間中心の組織運営手法 |
Sociocracy | ソシオクラシー | 同意による意思決定システム |
Adaptive Enterprise | 適応力のある企業 | 変化に対応できる組織 |
Emergent Strategy | 創発的戦略 | 状況に応じて発展する戦略 |
AI・技術
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Artificial Intelligence (AI) | 人工知能(AI) | 人間の知能を模倣する技術 |
Cognitive Augmentation | 認知的拡張 | AIによる人間能力の強化 |
Human in the Loop | 人間をループ内に保つ | AI使用時の人間による監督 |
フレームワーク・理論
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Cynefin® | クネビン | 意思決定のためのフレームワーク Basic Cynefin® |
Ordered | 秩序系 | クネビン:因果関係が明確で、ベストプラクティスが適用可能な問題領域 |
Complicated | 煩雑系 | クネビン:因果関係は分析可能だが、専門知識が必要な問題領域 |
Complex | 複雑系 | クネビン:因果関係が事後的にのみ理解でき、創発的実践が必要な問題領域 |
Chaotic | 混沌系 | クネビン:因果関係が不明で、迅速な行動と安定化が必要な問題領域 |
Disorder | 無秩序 | クネビン:どの領域に属するか不明な状態 |
OODA | OODA | 観察・方向付け・決定・行動のサイクル。迅速な意思決定と適応のためのループ |
Systems Thinking | システム思考 | 部分最適化を避け、システム全体の相互作用を考慮した思考法 |
その他
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Timebox | タイムボックス | 作業時間の上限設定 |
Cadence | ケイデンス | 一定のリズム |
Flow | フロー | 価値の流れ |
Leadership | リーダーシップ | 影響力とガイダンス |
Change Agent | チェンジエージェント | 組織変革を推進する人 |
Systems Thinking | システム思考 | 全体的な相互関係の理解 |
Aligned Autonomy | 整合された自律性 | 共有目標に集中しながら問題解決方法を決定する自由 |
Cross-functional | 機能横断型 | 技術とビジネスドメインのスキルを含む多分野性 |
Governance | ガバナンス | プロダクトの方向性・意思決定・責任を導く構造・基準 |
Impediment | 障害物 | 進歩を阻害または遅延させるもの |
Evidence | エビデンス | 客観的に観察された根拠 |
Cognitive Diversity | 認知的多様性 | 思考パターンの多様性 |
Guiding Coalition | 指導連合 | 変革を推進する強力なグループ |
Genchi Genbutsu | 現地現物 | 決定を知らせるために事実と観察を収集すること |
Side Effects | 副作用 | 予期しない、または意図しない結果や結末 |
Exaptation | エクサプテーション | ある目的のものを異なる目的で使用すること |
Estuarine Mapping | 河口域マッピング | クネビンフレームワークのマッピング手法 |
RenDanHeYi | 人単合一 | ハイアールの経営モデル |
Abduction | アブダクション | 推論の一形態 |
Sense-making | センスメイキング | 意味形成、状況理解のプロセス |
Product Operating Model | プロダクトオペレーティングモデル | プロダクト中心の運営モデル |
Strategy Deployment | 戦略展開 | 戦略の実行計画への展開 |
Motivation Crowding | モチベーション・クラウディング | 外発的動機付けが内発的動機を損なう現象 |
B2B2B | B2B2B | Business to Business to Business |
B2B2C | B2B2C | Business to Business to Consumer |
歴史的・理論的背景
英語 | 日本語 | 説明 |
---|---|---|
Toyota Production System | トヨタ生産方式 | リーン思考の基盤となった生産管理システム |
The New New Product Development Game | 「新たなる新製品開発の方法」 | Takeuchi・Nonaka論文、スクラムの語源となった研究 |